じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 大阪管区気象台は2日、西日本が西高東低の冬型の気圧配置となり、近畿地方で木枯らし1号が吹いた、と発表した(←木枯らし1号が公式に発表されるのは関東地方と近畿地方に限られているらしい)。大山・中の原スキー場鏡ヶ成では、ライブ映像にある通り、一面の雪景色となっている(11月3日午前6時現在)。

 岡山でも2日の朝は、雪雲が押し寄せて時雨れ模様となり、西の空に美しい虹が出現した。


11月2日(月)

【思ったこと】
_91102(月)[心理]ガーゲン先生ご夫妻講演会(5)ケネス・ガーゲン先生の講演(1)

 10月29日の日記の続き。今回から、ケネス・ガーゲン先生の講演についてメモと感想を述べることにしたい。

 ケネス・ガーゲン先生の著作は何冊か拝読したことがあるが、直接お話を伺うのは今回が初めてであった。ウィキペディアによれば1935年のお生まれということなので、今年で74歳。K先生のようなお姿を想像していたのだが、実際はイメージとはかなり異なっていた。

 今回のお話は心理療法に関する歴史的考察と社会構成主義からの提言というような内容であった。そのあらましは、『あなたへの社会構成主義』などの訳本を読んでいればだいたい理解できる内容であった。

 講演の前半では、心理療法の歴史を、「animal」、「machine」、「conversation」という3つのキーワードで批判的に概観された。最初の「animal」というのはフロイトの精神分析への批判である。人間はライオンのような動物であり、動物的な欲望を文化等によって抑圧するところから心の病が生まれてくるというような内容であった。ちなみに「animal」というのは「動物メタファー」として、ガーゲンの著書の中でもしばしば使われている。

 次のキーワード「machine」は、1920年代以降の産業革命がもたらした病気である。この時台には、いかにして人間(行動)を予測可能な対象にするのかという取り組みがなされた。その代表格は行動療法と薬物療法である。さらには、認知主義の中でコンピュータのメタファー、ソフトウェアのメタファーとして扱われることになる。

 ガーゲンの行動主義批判については、御著書の中でも何度か拝見したことがあるが、今回の講演でもかなりの時間が割かれ、かつ手厳しい批判が展開された。例としてあげられたのは、子どもの夜尿症と、性同一障害の「治療」に関するもので、要するに、「望ましい」行動が出現した時にはトークンエコノミーのようなご褒美を、望ましくない反応に対しては罰を与えるというのが行動療法のやり方だ、一定の治療効果はあるが、ユニバーサルな法則を掲げて人間を機械的にコントロールしようとするものでありケシカランというような内容であったと理解した。ちなみに、今回の講演が行われた立命館大には、応用行動分析学の大家がおられる。ガーゲン先生がせっかく来られたのだから、行動分析学との対話をめざすような企画があってもよかったのにと思ったが、私の知る限りでは実現していなかった模様。なお私個人の意見は、こちらで述べたことがある。

次回に続く。