じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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11月21日頃から、半田山の中腹に巨大なクリスマスツリーが出現。岡山理科大構内に設置されているものと思われるが設置の趣旨や経緯は未確認。 |
【思ったこと】 _91122(日)[数学]リーマン予想150年 ●NHKハイビジョン特集:素数の魔力に囚われた人々〜リーマン予想天才たちの150年の闘い を視た。昨日の日記でも述べたが、この番組は、11月15日にNHK総合で放送された、 ●NHKスペシャル:魔性の難問〜リーマン予想・天才たちの闘い〜 と類似した内容になっていると思われる。但し、NHK総合で放送された時は、妻とちゃんねる争いになり一部しか視ることができなかったので、どこが重複していて、どこが追加されているのかを確認することはできなかった。 リーマン予想に関しては2004年にルイ・ド・ブランジュ(Louis de Branges)という数学者がリーマン予想の証明を宣言したと宣言したが、その後、誤りが指摘され、現在なお、生涯をかけた取り組みに挑んでいるということであった。ネットで検索したところ、↓のような興味深いタイトルの論文が見つかった。最近また、新たな証明を宣言されたということだが、検証の結果はどうなるだろうか? APOLOGY FOR THE PROOF OF THE RIEMANN HYPOTHESIS 番組で紹介された数学者の中でやはり偉大であると思ったのは、「18世紀最大・最高の数学者」とされるオイラーと、19世紀最大の数学者の1人」とされるガウス。どちらも、単に何かの定理を証明したというだけでなくて、その後の数学の発展の土台を築いたという点で、建設的な意味での貢献が多大である。 いっぽう、番組の中で悲劇的に語られたのはアラン・チューリングと、ジョン・ナッシュであった。後者のナッシュは、映画「ビューティフル・マインド」のモデルとなった数学者としても知られているが、今回はなんとご自身が登場されていた。 私自身はこの方面に関しては全くの素人であるが、素数を「2,3,5,7,11,13,17,19,23・・・と「一見無秩序でバラバラな数列にしか見えない」ととらえることには若干異論がある。直感的に考えると、素数というのはエラトステネスの篩で合成数を除外した残りであって、その並び自体には特段の規則性は無いように思える。 自然界と関係があることもそれほど不思議とは思えない。なぜなら自然界には、原子や分子、さらに人は動物などの個体、商品というように、1個1個が数えられる離散的な存在が多種多様に存在している。それらをいくつか寄せ集められたり、合体させてられてできたものは、バラバラにした時の個体と似通った性質をもつことが多い。例えば、「対戦」という性質は素数2に起因するものであり、4であれ8であれ、2の倍数で構成されるメンバーの中では確実に「対戦ゲーム」を実施することができる。いっぽう「巴戦」は3の倍数であることが不可欠である。6人や9人というように3の倍数であれば巴戦は実施できるが、3の倍数でない4人のあいだでは巴戦はできない。 要するに、合成数でない数は、それより小さい素数の積では表現できないような独自の性質を持ちやすい。そのことが、質的に異なる存在に関わってくるのではないかと思われる。 番組では素数とπやeとの関係が説明されていたが、自然界の現象との関係で言えばむしろ、正規分布の公式にπやeが含まれていることのほうが意味があるように思える。ある存在の固有の性質は素数に関係するかもしれないが、無限に近いような雑多な要因が同時に作用した結果として測定される量はむしろ、正規分布のほうに関係する。もちろん、究極的にはどちらもリーマン予想に関係してくるのかもしれないが...。 このほか、番組では、ジョン・ナッシュによる興味深い方略が紹介されていた。番組によればナッシュは、まず、リーマン予想が成り立つと仮定される「都合の良い世界」を構築し、これを、リーマン予想が正しいかどうか分からない現実の世界と比較するという方略を発想した。「都合の良い世界」と「現実の世界」が地続きであることが証明されれば、結果的にリーマン予想が証明されたことになる。 この発想は、多くの心理学にも援用できそうだ。例えば、行動随伴性が正しいかどうかということは、それ自体は証明できない。しかし、すべての行動(オペラント行動)を行動随伴性で説明し、日常世界と地続きであることが経験的に実証されるのであれば、結果的に、行動随伴性に基づく行動理解は妥当であったということになる。ま、経験科学の場合、ある法則が絶対的に真とか偽ということはなく、予測や制御の可能性、簡潔性、適用範囲、有用性などによって、日々取捨選択されていくことが多いので、純粋数学の援用が万能であるとは言えない面もあるけれど...。 |