じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



01月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

§§
 大学入試センター試験2日目。朝方はマイナス1.5度の寒さとなったが、その後10°近くまでぐんぐん気温が上がり、快適な受験日和となった。


1月17日(日)

【思ったこと】
_a0117(日)[心理]2009年度版・卒論執筆の手引き(7)「研究方法」を序論に書く場合/各パーツへ

 すでに述べたように、
  1. 論文全体についての、要約的な段落
  2. テーマの意義(このことを研究対象として取り上げることの意義)
  3. 研究の背景や先行研究の紹介
  4. 先行研究の総括と、問題点・課題の導出
  5. 本研究で何を明らかにしようとしているのか(研究の目的、仮説など)
  6. 本研究の視点や研究方法のユニークさについて強調
  7. (研究方法がユニークである場合は、必要に応じて)本研究が採用した研究方法についての概説
という順序で序論を構成することをオススメしているが、このうち必須部分は5.までであって、6.と7.はいわばオプションのようなものである。

 オーソドックスな実験法や調査法を用いた研究であれば、わざわざ序論のところで「実験法とは何か」というような説明を付け加える必要はない。いっぽう、その研究のユニークさが、研究対象よりも研究方法の斬新さにあるような場合は、序論のところで、その研究方法が開発された背景・経緯、その方法の長所・短所などを紹介し、その研究方法を用いることで新たに明らかにできそうなことを提起しておけば、研究目的はより鮮明になるであろう。




 さて、序論の後には、「実験1(第一実験)」とか「調査1(第一調査)」というように各パーツが続く(←ここでは便宜上、論文を構成するそれぞれの実験や調査のことを「パーツ」と呼ぶことにする)。これらが「小目的の記述→方法(対象者、条件、手続など→結果→考察」という形で単線的に構成され、議論が発展していく場合は特に問題ないが、途中から横道に逸れたり、複数の実験・調査の結果を複合的に分析して総合考察を展開するような場合には、各パーツの関連を図解しておくとよいだろう。

 各パーツ内の「小目的の記述→方法(対象者、条件、手続など→結果→考察」といった構成については、研究法別に、それぞれに標準的な記載方法があるので、『心理学研究』誌やAPAの機関誌をお手本にしてもらいたい。

 比較的共通する留意点としては
  • 研究対象者については、個人情報に十分に配慮しつつ、のちの研究者が同じことを確かめたり発展させたりするために必要となる情報はしっかり記しておくこと。この場合、たとえば「被験者は大学生」というだけでは不十分であり、どういう地方のどういう大学のどういう学部で、どういう形でサンプリングしたのか(←たいがいは心理学講義の受講生)ということまで明記するべきであるが、教育訓練的性格をもつ卒論研究ではそこまでは要求しない。
  • 手続については
  • 各パーツ内でユニークな研究方法が使われている場合は、その長所・短所を説明しておくと望ましい。但しそれらを方法のところに書くと「何をどういうふうに調べたのか」がわかりにくくなる。ある程度以上の記述量の場合はパーツ内の序論的部分のほうに含めておいたほうがよい。

    • 実験1(調査1)に関する序論
    • 実験1(調査1)で用いる独自の実施方法(あるいは分析方法)についての概観
    • 実験1(調査1)の方法(対象者、装置、条件、手続など)
    • 以下、「結果」と「考察」へ続く
というようになる。

 次回に続く。