じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 農学部農場の田んぼの水張りが始まった。この時期には、後ろの風景が田んぼの水面に映し出される「パラレルワールド」が出現。また、カエルや水生昆虫などを狙って、サギなどの鳥がやってくる。



6月9日(水)

【思ったこと】
_a0609(水)[一般]子ども手当

 各種報道によれば、長妻厚生労働相は8日、これまでの姿勢を転換し、11年からの子ども手当満額支給を事実上断念する考えを明らかにしたという。

 「子ども手当」は平成22年3月31日法律第19号の法律に基づき、15歳以下の子供に月1万3千円を給付するというものであるが、我が家には全く無関係ということもあって、これまで詳しく調べたことが無かった。

 今回改めて、元の法律にざっと目を通してみたが、今回の支給の根拠は、

平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律(平成二十二年三月三十一日法律第十九号)

というように、「平成二十二年度」が冠せられた法律であることが分かった

 ここでは、
(子ども手当の額)
第五条  子ども手当は、月を単位として支給するものとし、その額は、一月につき、一万三千円に子ども手当の支給要件に該当する者(以下「受給資格者」という。)に係る子どもの数を乗じて得た額とする。
となっていて、「満額」を2万6000円とする記載はここでは見当たらない。

 ところでそもそも、この法律は何のためにできたのか。この「二十二年度」の第一条と二条を見ると、
(趣旨)
第一条  この法律は、次代の社会を担う子どもの健やかな育ちを支援するために、平成二十二年度における子ども手当の支給について必要な事項を定めるものとする。

(受給者の責務)
第二条  子ども手当の支給を受けた者は、前条の支給の趣旨にかんがみ、これをその趣旨に従って用いなければならない。
となっており、何にでも使ってよいというわけではなさそうだ。例えば、要介護の両親と同居しつつ子育てをしている人が、介護のための費用に子ども手当を充てたとすると法律違反をしていることになる。

 この子ども手当については、いろいろな問題点も指摘されているようだ。ウィキペディアの当該項目には、
2010年(平成22年)4月22日に兵庫県尼崎市の市役所窓口で韓国人男性が妻の母国であるタイに養子縁組した子供554人がいるとし、年間8642万4000円の支給を申請している。この韓国人男性はタイ政府が発行したという証明書を持参しており、市窓口の担当者が「養子はどの子ですか」と聞くと「全員です」と答えた。男性は「タイに定期的に渡航し、現地で子どもたちと寝起きしている」と主張した。このケースは、「書類上は条件を満たしている」が、判断を仰がれた厚生労働省は「554人の子どもと生計を同じくしているとは判断できず、社会通念上も認められない」として支給対象にならないと判断したため、尼崎市側は申請を受理しなかった。
というような事例が紹介されているが【2010年6月10日時点の記述、脚注番号省略】、このほかにもいろいろな問題が起こりうるようだ。

 けっきょく、この「手当」の一番の問題は、政府でなければ実現きないような子育て支援の制度を後回しにして、単にお金をばらまいているだけという点にあるのではないかと思う。「次代の社会を担う子どもの健やかな育ちを支援」という目的を実現するのであれば、財源によって額を調整されたり、政権が替わるたびに創設されたり廃止されたりするような不安定なものではダメだ。50年後まで見通せるようなきっちりした支援制度を確立することのほうが遙かに重要である。