じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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「岡山富士」からの日の出。 10月8日(金)の朝はおおむね雲に覆われていたが、東の地平線付近だけ晴れ間があり、日の出を眺めることができた。秋分の日が過ぎて真東よりやや南よりに太陽が出てくるようになったため、南側のベランダから撮影ができるようになった。太陽の右側の富士山型の山は、地図によれば、どうやら「芥子山(けしごやま)」という山で、地元でも知られていない夜景スポットだという。一度行ってみたいと思う。 ※写真右下は、横幅を50%に縮めた写真。 |
【思ったこと】 _a1007(木)日本心理学会第74回大会(17)心理学の縦断研究における継時的データの分析方法(4)大学新入生の精神的健康における変容過程 昨日の日記の続き。 MA氏の講習的話題提供では、入学試験の種別(推薦、センターのみ、個別学力試験などの違い)を説明変数、入学後のストレスを目標変数とするデータが適用事例として取り上げられた。これはあくまで、この方法を使えばこういう分析ができますよ、という例示であることは十分承知しているのだが、昨日も述べたように、
もっとも、これは、どういう目的でこの種の分析を行うのか、ということにも依存している。例えば、大学の学生生活支援体制を整えるという目的であれば、上掲のような分析は、
もっともこれらは、大学全体としての施策に関わる問題である。学生が個々人のレベルで抱えているストレスについては、より詳細かつ具体的に対応するべきであることは言うまでもない。その学生がどういう入試で入学してきたのかということは、参考情報にはなりうるがそれだけで「この学生はこういうタイプだから...」というようなレッテルを貼ってはいけない。 さて、MA氏の講習的話題提供に引き続いて、3名の話題提供者から、発達心理学領域,臨床心理学領域,健康心理学領域それぞれにおける、マルチレベルモデルに基づく継時的データ分析事例の紹介が行われた。 最初の事例は、M氏による上記の事例とよく似た内容であり、大学新入生の精神的健康における変容過程に関する話題提供であった。この種の問題では、横断的調査に基づく構造分析では、ストレスフルな環境における適応または不適応に至る過程を十分には把握できない、同一個人のストレス要因と精神健康度との関連を継時的に分析する必要いがあるというのが、研究のご趣旨であった。 この研究では、横軸として、大学の年間のイベント、ストレス源としては、生活、学業、友人、健康、バイト、試験、部活、ストレス反応としては、鈴木他(1977)によるSRS-18という尺度が用いられた。 調査時期は、入学1週間後から2年次開始時までの1年間のうちの計6回であり、1カ月半から4カ月の感覚があった。この測定時期は、できるだけ等間隔で、そのあいだのイベントが同じ程度になるように設定されたという。結果としてはまず、ストレス反応度の変動の型を、ずっと高位、ずっと低位、中位から高位、中位から低位という 4タイプに分類、マルチレベルモデルにより分析が行われた。すでに述べたように、このモデルを使うことで、ストレス反応のレベル(切片)と変化の方向(傾き)が異なるデータを変動のタイプ(クラスター)別に分析することができる。例えば、夏休みのような休暇がどういう効果をもたらしたのかということを、コントロール可能性や、「いきいき尺度」で比較することができるということであった。 以上の話題提供はたいへん興味深いものであったが、上にも述べたように、やはりこれは、大学全体の総量的な分析であって、夏休みや春休みといった長期休暇をどう設定するのか、学生相談窓口の応対者(相談員やカウンセラーなど)をどの時期に何人くらい配置すればよいのか、といった目的で活用可能な分析であろうと思われた。いっぽう、個人レベルでは、ストレスが多いと言ってもその人に夏休みを長くとればいいというようなアドバイスはできない。より具体的で詳細なイベントの効果を個人レベルで把握し、こういうイベントに参加してはどうかといったポジティブなアドバイスができるようにならないと、単なる現状把握に終わってしまいそうな気がした。 次回に続く。 |