じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
§§ |
月齢25.5の月と金星(1月30日06時38分撮影)。なお、『天文年鑑』によれば、1月30日の01時25分には月の赤緯が最南、また12時36分には月と金星は3°29′まで接近。 |
【思ったこと】 _b0129(土)この日本人がスゴイらしい(2)「1日おき」と「24時間おき」はなぜ違う意味になるのか? 1月28日放送のこの日本人がスゴイらしいの番組に関する考察の2回目。番組の中で金田一秀穂先生が出演され、以下のような話題を取り上げておられた。
さて、問題は、2.の「1日は24時間なのに、1日おきと24時間おきは違う。」である。番組ではこのことについての解説は無かった。国語関係の本には詳しく解説されているはずだが、ここでは私なりの解釈を試みる。 まず『新明解』では「おき」は 一定の間隔を置いて何かが規則的に繰り返されることを表わす。と定義されている。「おき」は漢字で「置き」であることからも分かるように、要するに、ある事象が継続的に繰り返される時に、その間に、どれだけのモノや長さや時間がおかれているのかという表現であると言ってよいだろう。 例えば、 ●○●○●○●... というように黒丸と白丸が並んでいる時には、「黒丸は1個おきにある」と表現される。この趣旨から言えば、 ●○○●○○●○○●... では、「黒丸は2個おきに並んでいる」と表現しなければならない。但し、間に置かれたモノの個数が多くなればなるほど、「χ個おき」という表現は「χ個ごと」と混同されやすくなるようだ。 いっぽう、間に「置かれた」間隔が長さや時間である場合には、当該事象の間の物理量としての間隔がそのまま「おき」として表現される。「1時間おきに測る」、「1メートルおきに並んでください」などなど。この場合には混同は起こりえない。 では「24時間おき」と「1日おき」はなぜ違うのか? まず「24時間おき」は間に24時間という時間間隔を置くという意味であって混同は起こりえない。いっぽう、「1日おき」という場合は、置かれる「1日」が文脈によって違う形で定義されている。 例えば、「1日おきに働く」という場合の「1日」は、「働いている日」と「休業日」という単位でモノとして扱われる。であるからして、この場合の「1日置く」は、午前0時から24時までの丸1日、休業日を設定しなければならない。 もう1つ重要なポイントは、話題とされている事象がほとんど瞬間的に完結するものであるのか、一定時間持続するものであるのかによっても変わってくるということだ。瞬間的か持続的かということは、その事象と間隔の長さの相対的な比率にも依存するし、その事象が1日のうちでどれだけ重要なイベントであるかということによっても変わってくるはずだ。 いま述べた「1日おきに働く」という場合は、「働く」ということが一定時間継続しているので、仮に1日に3時間しか働かなくてもその日は「働いている日」ということになる。いっぽう「1日おき血圧を測る」という場合、血圧の測定時間はきわめて短時間なので、「1日おきとは24時間おきのこと」という印象が強くなる。ところが、「1日おきに内視鏡検査をする」となると、その検査はかなりの苦痛で重大イベントとなるので、「検査をしない日」が丸1日、間に置かれるという受け止められるようになる。 「一週間おき」も同様であり、「この番組は一週間おきに放送されます」という場合は、番組の長さが一週間に比べて相対的に小さいため、「毎週放送される」という意味に受け止められる。しかし、「この仕事は月曜日から金曜日までの5日間であり、一週間おきに行われます」と言われた場合は、仕事の無い一週間が間に置かれると考えられるだろう。 「オリンピックは4年おきに開催される」という場合は、オリンピック開催期間に比べて、間に置かれる時間がきわめて長いため、「一週間おきに放送される番組」と同じ意味になる。「オリンピックの無い年」が間に丸4年分置かれるとは誰も思わない。 ま、とにかく、誤解を避けるためには、「おき」よりは「ごと(毎)」を使ったほうが良さそうだ。 次回に続く。 |