じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



02月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
§§ 2月14日に出現した一般教育棟D棟北側の雪だるまの推移。この雪だるまは15日朝まではしっかりと立っていたが(写真上)、15日夜には「頭部」が「胴体」と少し離れたところに落下していた。不思議なのは、その落下した頭部が16日朝になって反時計回りに東側に移動し、かつ「胴体」とくっつていたこと(写真いちばん下)。雪だるまが勝手に移動したのか、それとも、深夜に何者かが動かしたのかは謎である。

2月16日(水)

【思ったこと】
_b0216(水)斎藤佑投手の経済効果?と老後の蓄え

 夕食時に少しだけ視た

テレビ朝日そうだったのか! 池上彰の学べるニュース

で、
ワールドカップ開催の経済効果は●兆円、
オリンピック開催の経済効果は●億円、
さらに●●投手の入団で経済効果●億円、など
ニュースに良く出てくる、経済効果。
一体これはどうやって計算しているのか、
そしてなんで計算するのか、分かりやすく解説します。
という話題を取り上げていた(番組記録サイトからの転載)。

 この「経済効果(あるいは経済波及効果)」というのは昔から、なんとなく胡散臭い言葉だと思っていた。表題の斎藤投手に関しても、斎藤投手が日本ハムに入団したからといって、どこかで新たな生産が始まるわけではない。斎藤投手自身が受け取る契約金1億円にしたって、会社がどこからか調達してくるだけであって、お金が移動しただけに過ぎない。いったいどこで何が増えるのだろうか?

 私自身は経済学には全くの素人ではあるが、最近ようやくそのからくりが分かりかけてきた気がする。要するに、斎藤投手が札幌ドームで登板し観客がそこに足を運んだり、グッズを買ったり、開幕前にキャンプに見物に行ったりするということは、「そのファンたちがもともと別の目的に使うはずだったお金が、斎藤投手関連ビジネスのほうに移動する」ということなのである。

 その場合、もし、ファンたちが、もともと街中でショッピングに使おうと思っていたお金を、キャンプ地見物や札幌ドーム観戦のために資金に充てたとすると、街中では閑古鳥が鳴いて逆に不景気になる。つまり、それだけでは、お客の取り合いにすぎず、日本全体では何ら経済活動は活性化されない。

 しかし、もしそのファンたちが街中でショッピングを続けながら、それに加えてキャンプ地見物や札幌ドーム観戦に足を運ぼうとした場合は、
  1. その資金を得るために、もっと長い時間働こうとする
  2. 将来のために貯めておいた資金を、いま使ってしまう
といういずれかの方法をとるほかはない。1.の場合、労働時間を増えることは日本全体の生産活動をいくぶん活性化する効果をもたらすであろう。問題は2.をどう考えるのかである。

 このことも最近ようやく分かりかけてきたのだが、「10年後、20年後のために蓄える」というのは、「蓄える」というと聞こえはいいけれど、結局は、10年後、20年後の就労可能世代を自分のために働かせる(→もうすこし穏やかな表現を使うなら「働いてもらう」)ための仕掛けを整えておくということを言っているにすぎない。例えば、
  • 不動産を取得するということは、10年後、20年後の就労可能世代が必要とする土地や家屋をあらかじめ専有しておくということ。次の世代はそれを使用するために働かなければならない。それがけっきょく、不動産を取得している人へのサービス提供ということにつながる。
  • 仮に現金のまま保有していたとしても、そのお金は、10年後、20年後の就労可能世代が稼ぐお金と同等の価値を持つ。月給20万で働いている人がモノを購入する場合、その人一人だけで消費をするならば20万円は20万円分のお金として使える。しかし、その人とは別に現金資産として20万円を蓄えていた人がとなりに居れば、2人で同時にモノを購入する時の現金総額は40万円になるので、お金の価値は半分になる。つまり、価値が減った分、就労可能世代は余計に稼がなければならない。
 もとの話題に戻るが、将来の蓄えとするはずだったお金をキャンプ地見物や札幌ドーム観戦に使ってしまうということは、それだけ次世代の負担を減らすという効果があるだろう。もちろん当人は、その分、年を取ってからも自力で稼がなければならない。

 この日記で何度も書いているように、資産などというのは、総額自体には何の価値もない。ある集団・社会の中でそれが偏在し、格差が生じることによってのみ初めて価値を持つものにすぎない。それがイヤであるとするなら、資産に頼らない互助・相酬の社会に作り替えるほかはあるまい。