じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 _b0803(水)子ども手当の迷走 各種報道によれば、 民主、自民、公明3党の政調会長が3日夜、都内で会談し、子ども手当の修正で合意した。来年4月から児童手当法の改正で現金給付を行うとし、所得制限の水準は、年収960万円程度とした。中学生までに月額1万3000円を支給している「つなぎ法」が切れる10月分から、新たな額を支給するという。これによって、民主党政権の目玉政策である子ども手当は、2011年度限りで廃止されることが事実上確定した。 民主党の諸政策の中には正しい方向を目ざしたものと、間違った方向に陥る危険のあるものがあるとは思うが、この「子ども手当」政策は完全に間違っていたと思う。 まず、この手当のそもそもの目的であるが、「平成二十二年度等における子ども手当の支給に関する法律」によれば、 と記されており、「次代の社会を担う子どもの健やかな育ちを支援する」ことが目的となっている。 ウィキペディアの当該項目にはより詳細な解説があり、 日本では少子高齢化が進行し、2010年現在は、3人の現役世代で1人の高齢者を支える形になっているが、2055年には1人の現役世代で1人の高齢者を支える状況となることが見込まれている。一方、日本における子どもの貧困率は14.2%と、OECD諸国平均の12.4%より悪くなっており、片親の子どもの貧困率は54.3%とOECD諸国(平均30.8%)中最低となっている。日本政府が子育ての支援にかけている予算は、GDP比でスウェーデン3.21%、フランス3.00%、ドイツ2.22%に対し、日本は0.81%と先進国中最も少ない国の一つとなっている。特に6歳以下の子どもへの支援額がOECD諸国平均と比べ非常に低いとOECDに指摘されている。また子育て世代は等価可処分所得中央値が1998年(平成10年)から2007年(平成19年)の10年で10%以上落ちるなど収入に余裕がなく、子どもが学校に通うようになると教育費も大きく増加して経済的負担が大きくなる面もあるため、民主党は子どもの幼少から就学までのトータルでの支援が必要だとしている。という目的・背景があるようだ。 もし日本が資源大国であって、有り余る財源があったとしたら、こういう政策も間違いでは無かろうとは思う。しかし現実には、財源難の中で支給額がそのつど変更され(おおむね減額)、あげくの果てには実質廃止というのであれば、「次代の社会を担う子どもの健やかな育ちを支援」することには全くならない。出産前、出産、育児、教育というすべての過程で安定的な支援が受けられなければ、真の支援とは言えない。ちいさな子どもの居ない所得者から徴収した税金を、一時的に子育て家庭にばらまくという人気取りに過ぎなかったと批判されてもやむを得ないであろう。 高齢者福祉の問題もそうだとは思うが、どっかからたくさん税金をとってきてばらまくというだけでは、真の政策とは言えない。国でできること、地方でできること、我々が一人一人で取り組むべきことはそれぞれ多様であるが、とにかく、たくさんの子どもを育てても負担にならないことや、子育てを人的に支援するための仕組みをつくり、恒常的な制度として定着させることが肝要であろう。 まずは、扶養控除の額を拡大することも必要。子どもが無料で利用できる施設(例えば学童保育)を増やすことも意味がある。公共交通機関は、中学生以下はすべて無料ということにすれば、子どもがたくさん居る家庭では負担の軽減になる。また、人的支援としては、まずは保育施設の充実と無料化、高齢者施設と保育施設との連携などが考えられる。「支援が必要→財源が必要→増税」という短絡的な発想をやめて、地味でもよいから恒久的できめ細かい制度を定めていくことが必要であると思う。 |