じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 _b0821(日)2011年版・高齢者の心と行動(53) ダイバージョナルセラピーワーカー・フォーラム2011(16)理事長による基調講演(16)/まとめ 理事長講演の最後のところでは、ダイバージョナルセラピーの特徴的なプログラムとして、
このうち、2.のセンサリーセラピーは、知的障害者のプログラムとして発祥したという。詳しくは分からないが、感覚統合と共通の根っこを持っているかもしれない。 3.のSONAS(ソナス・セッション)とは、 音楽と会話をベースに回想、運動、遊び、五感への刺激、笑いなどの要素を、設定したテーマにそって40分程度のセッションに組み込み、コミュニケーションを促し、クライエントの楽しさ、心身の活性、能動的行動、自己表現などを取り戻そうとするDTピーアール・の1つ。として定義されており、季節や生活に身近なテーマを選んで行われるという。効果の評価にあたっては、表情の変化や感情の発露を見逃さない気配りが必要である。 4.の環境的アプローチには、ベッドの向きを変えるというような配慮も含まれるらしい。 以上のような特徴的なプログラムを実施する脳生理学的な背景として、大脳新皮質が関与する、計算、思考、判断、記憶などの機能は加齢や認知症によって衰えていくが、好き嫌い、気持ちいい悪い、五感や感情などの大脳辺縁系の機能は生涯こわれにくく、この部分に働きかけを強めるという考え方があるようだ。 以上の理事長講演のあと、昼食休憩をはさんで、7件の実践発表が行われた。但しいずれも、不特定多数への公開を目的とした内容ではなかったので、ここではコメントを差し控えさせていただく。1つだけ気になったのは、SONASの効果検証の報告のなかで、「1年間参加した18名のうち11名ではMMSE(Mini-Mental State Examination、認知症のスクリーニング検査で、記憶や見当識や計算や言語能力など11の質問項目からなる)のスコアが維持または向上、いっぽう一度も参加しなかった7名では1名を除き低下傾向があった」というような分析が行われていたことである。ダイバージョナルセラピーの基本原則が個人本位であることからみて、「18名中11名」という「多数決原理」による評価ではなく、11名の中でどのような質的変化が見られたのかを細かく分析することが先決。その上で、残り7名それぞれでは何が問題であったのか、また、一年間を通して不参加であった7名の方々にはどのように接していけばよいのかを検討するほうがよいのではないかと思った。 ということで、7月25日以降、長期にわたって続けてきた連載はひとまず終了とさせていただく。 |