じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 _b0921(水)日本行動分析学会第29回年次大会(5)許可の随伴性・阻止の随伴性・ルール支配行動:青年・成人臨床事例からの再考(2)阻止の随伴性の諸事例 昨日の続き。企画者の話題提供の内容についてのコメント・感想をもう少々述べさせていただく。 まず、昨日も引用させていただいた、 「阻止の随伴性」に関する従来の随伴性ダイアグラムでは、直前条件のところに「やがて○○という変化が起こる」というような時間経過が述べられているが、これでは条件とは言い難いので「ある反応が生じないと/やがて起きる可能性の高い事態の変化を/その反応をすることで/事態の変化を阻止する/その結果、その反応は生じやすくなったり/生じにくくなったりする」というような形で定義してはどうか。という定義に関するご提案に関してである、私自身は、かつて、阻止の随伴性を「保守」、許可の随伴性(基本随伴性)を「改革」と呼んだことがあった。我々が暮らしている地球上の環境というのは常に安定不変ではなく、時にめまぐるしく変化し、その変化はしばしば個体の生存を危うくすることもある。そこで、ある行動をすることでその変化を止め比較的平穏な現状を保守する結果をもたらすのが阻止の随伴性による強化である。いっぽう、個体にとって必ずしも満足とは言えない環境が続いていた時に、その環境に能動的に(=オペラント)働きかけて環境自体を変化させるというのが許可の随伴性(基本随伴性)ということになる。 以上の考え方は上記引用内容と大して変わりがない。但し、私自身の提案は、特定の物理的刺激ばかりでなく、変化それ自体、例えば、気温変動、揺れ、不規則性なども好子や嫌子になりうることを示唆するものである。例えば、センサーによりon、offを繰り返すだけの旧型エアコンがあり、仮に24℃まで下がると冷房停止、28℃になると冷房再開という温度変化が繰り返されたとする。私自身のようなエアコンには弱い体質の者にとっては、設定温度が高すぎるか低すぎるかということよりも、そうした温度変化自体のほうが冷房病の原因となる。それに対して、常に±0.5℃の範囲で一定温度を保ち続けるようなインバーター制御のエアコンは快適である。もし室内に、旧式のエアコンとインバーター制御エアコン2台が設置されていたとしたら、私は後者のほうのボタンを押すだろうが、それは単に、暑さを除去するという嫌子消失の強化でなく、温度変化を阻止するという嫌子出現阻止の随伴性によっても強化されているのではないかと思われる。 次に、企画者は阻止の随伴性についていくつかの事例を挙げられ、その中で複数のタイプがありうることを指摘された。なお【 】内の分類は長谷川が付加したものである。
次回に続く。 |