【思ったこと】 _b0928(水)日本行動分析学会第29回年次大会(12)許可の随伴性・阻止の随伴性・ルール支配行動:青年・成人臨床事例からの再考(9)学生相談場面の事例から(1)
2番目の話題提供では、
心理臨床場面におけるルールの機能化・非機能化 ―学生相談場面の事例から―
という事例が複数紹介された。前回までと同様、話題提供内容には個人情報も含まれると思うのでここでは具体的な言及は避け、本題に関係のありそうな部分だけを取り出して考察することとしたい。
話題提供ではまず、Skinner(1969)による「ルール」の定義と、その後の実験研究で分かったルール支配行動の特徴が松本・大河内(2002)に基づいて概観された。それらの特徴を私なりに解釈しながらまとめてみると、
- ルールは随伴性の変化に対する感受性を低減させる。
これは、強化スケジュールを用いた実験研究から見いだされている。強化スケジュールを変更しても、ルールに基づいて行動が維持されている場合は、そうでない場合に比べて、行動が変わりにくいということではなかったかと思う。日常生活場面での迷信行動やジンクスなどもこれにあたる。
- ルールに抵触する随伴性は、ルールに従う反応を消失させる。
上記1.のような抵抗はあるものの、ルールに矛盾する結果が続くと、当該行動は、いずれは直接効果的な随伴性で強化・弱化されるようになる。伝統的習慣や風習が、時代や環境変化によって変容し、現状に合わないものはしだいに捨て去られていくようなことを言う。
- ルールとそれに従う行動に対する強化によって,ルールに従う反応が促進される。
これは上記2.の逆であり、例えば、ある宗教の信者は、種々の意外な出来事があると、(それらを神の奇跡や罰と捉えることで)ますます強固な信仰を持つようになる。
- ルールが形成されるとともに、実際の行動はそのルールに連動する。
人間の場合は、直接効果的随伴性で維持される行動についても、それを言語化し、連動させていくであろう。
- ルールが他者と共有されると、それに従う行動はより強まる。
宗教団体、スポーツのチーム、地域のコミュニティなど色々な場面で言えると思う。ルールが共有されること自体よりも、構成員間の相互強化、また、行動分析学ではないが、おそらくバンデューラ(Bandura, A.)が言っていたような代理強化のようなものも、確立操作として、集団内構成員のルール支配行動の強化に一役かっているのではないかと思う。
次回に続く。
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