じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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2011年版・岡山大学構内の紅葉(2)ケヤキの黄葉が早い理由

 9月9日の日記にもあるように、今年のケヤキの黄葉は、かなり早くから始まっている。昨年は11月10日頃に写真を載せているので、1ヶ月近く早い。

 先日、車を運転中にたまたま聴いたラジオの情報によれば、ケヤキが早く黄葉するのはその年にたくさんの種をつけるからとのことであった。種をたくさんつけると、そちらに栄養がまわるので用なしの葉っぱは早く黄葉して落ちてしまう。また、種をたくさんつけるかどうかは、前年の暑さが影響しているのだという。あまりにも暑いと、ケヤキ自身にストレスがかかり、子孫を残そうとする。その傾向は翌年に反映されるらしい。以上がどの程度信頼できる情報なのかは未確認であるが、昨年が異常に暑かったことは間違いなく、「岡山の8月の平均気温は、大阪と並んで全国1位となり、過去の記録を更新した」などと報道されていた。

10月18日(火)

【思ったこと】
_b1018(火)人間・植物関係学会2011年臨時大会(8)放射性物質汚染の園芸活動への影響/近代化ブータンにおける園芸植物

 10月17日の日記の続き。

 午後の発表のうち3件目は、放射性物質汚染の状況調査と除染に関する話題であった。福島の原発事故により広範囲の地域が放射性物質に汚染され、それにともない、庭園や幼稚園の庭などで植物と関わる機会が奪われてしまった。今回の発表によれば、保育園・幼稚園では、屋外活動全般の自粛により栽培活動が行われなかったり、栽培をしても収穫物を食べないというケースもあった。

 除染作業の中で、大事にしていた樹木や多年草が無理やり撤去されることもありうるわけで、原発事故の影響は多大であると言わざるを得ない。じっさい、10月18日18時59分発信のNHKオンライニュースには、
,,,福島市は市内全域を除染する計画を掲げていて、18日から、市内でも比較的放射線量が高い大波地区で作業を始めました。18日は午前中から1棟の住宅を除染する作業が行われ、市が委託した業者が高圧洗浄機を使って屋根や雨どいを洗浄したり、庭に植えられた樹木や表面の土を取り除いたりする作業に当たりました。...
といった記事もあり、庭木も「被害者」になっていることが分かる。

 続く4件目の発表は、ブータンの近代化に伴う植物観賞の庶民化について、中尾佐助が1958年・1981年に撮影記録した映像と、発表者が2009年と2010年に現地で行った調査の結果を比較するという興味深いものであった。

 ブータンについては、ちょうど18日の昼食時、FNNスピークで近代化の映像が紹介されていた。それによると、ブータンの2010年の経済成長率は7%を超えており、その主要な原因は、隣国インドへの売電収入によるとのことであった。ヒマラヤの雪解け水を利用した水力発電で、国家収入の35%にあたる110億円の利益を得ているという。そのおかげで、首都のデパートに初めてエスカレーターが設置されたり、携帯電話が売られていたり、また、多チャンネルの衛星放送が受信できるようになってきた。ブータンというと、ウィキペディアの当該項目にもあるように、
1960年代から進んだブータン国の開発・研究(第1-2次五カ年計画)により、幸福こそ人のそして国家の究極の目標とし、ワンチュク国王が1972年にその概念を生み出した。4つの大きな柱からなるこの国民総幸福量、いわゆる幸せの指標、GNH(Gross National Happiness)により、「世界一幸せな国ブータン」として、特に、GDP/GNP増加を主眼としている先進国から今、注目されている。日本も、その成り立ちから、経済援助などを通じ、ブータンのGNH発現と実現に大きな貢献をしている。昨今、日本においてもGNHに関するシンポジウムが行われるなど、その最先端の概念の理解と導入への取り組みがみられる。
という印象が強いが、経済成長が進めば、国民の価値観や嗜好にも変化が生じてくることは必至であろう。

 発表によれば、現在、調査対象地で栽培されている園芸植物は、マリーゴールド、バラ、ゼラニウムなど、日本でもありふれた種類であり、反面、ブータンの在来種の園芸活用はきわめて稀であった。私自身も、海外の色々な旅行先で、花壇や鉢物の写真を撮ったりしているが、どこへ行っても、日本の花屋さんで売られているのと同じような品種が多く、少々がっかりしてしまうことがある。

 なお、今回の調査や中尾佐助データベースは、もっぱら、玄関先などの目に付くところで育てられている園芸植物が中心であったように見える。室内でどのような鉢物が育てられているのか、またその理由や、住人の関わり方などについては、より詳しい聞き取りが必要ではないかと思われた。室内植物というと、スイス・ベルンでは、多肉植物の寄せ植えが「Bonsai」と称して売られていたし、直近の旅行で訪れたアルマティのバザールでは、日本でも見られるありふれた観葉植物が1000円前後で売られていた。これらはいずれも、個別に訪問して室内の様子を調査させてもらわないと、把握できそうにもない。

 次回に続く。