じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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2011年版・岡山大学構内の紅葉(3)一般教育棟5階から眺める紅葉アラカルト

 11月1日の夕刻に一般教育棟D号棟で会議があった。写真は、会議前に撮影した一般教育棟構内の紅葉。手前はケヤキ。左手の並木はソメイヨシノ。右手にはイロハカエデ。その奥の東西通りにはケヤキとハナミズキの紅葉が見られた。正面の建物は、いま私たちが一時移転している自然科学研究棟であり、その気になれば私の研究室内を双眼鏡で覗くことができる。

 11月2日午後からは大学祭のテントが立ち並ぶため、この景色も一変するはずである。

11月1日(火)

【思ったこと】
_b1101(火)日本園芸療法学会2011年長野大会(5)災害復興における植物・園芸の役割(2)

 昨日の続き。1番目のA氏は大学で植物介在療法学の研究・教育をされている方であり、園芸療法に関連した論文・御著書も多い。しかし、今回の震災に、ご所属の大学の学生が関わることにはきわめて慎重であり、少なくとも、園芸療法という視点からの組織的な復興支援活動は一切行っていないというお話であった。あくまで私が理解した限りであるが、その理由は以下の2点にあると思われた。
  1. 今回の震災では居住地の風景が丸ごと失われてしまっており、それを回復するには「待つ」ことや「祈る」ことが必要である。そうした原状から切り離して、園芸活動という技法だけを持ち込んでも、療法的効果を発揮することはできない。
  2. 当該教室の学生はまだ勉学途上であり、植物介在療法を習得できていない。看護学科の1年生が現地に行っても看護活動ができないのと同様、当該教室の学生は、まだ現地で園芸の療法的活用を実施できる段階には達していない。
 これに対して、フロアからは、被災地や仮設住宅で園芸活動をサポートしている方からの体験談なども語られた。発言者の方は、人違いでなければ、以前より人間・植物関係学会でも活動されていた著名な方であった。また別の方は、園芸療法と園芸福祉に言及されながら、この学会でも何かできることがあるはずだと発言された。

 私自身も、後者の方のお考えに賛成であり、いま現在でも、園芸は、被災地の人々を大きく支えることができると思っている。実際、テレビで伝えられる仮設住宅の映像から、すでに、プレハブ家屋の周りでプランターで花や野菜を育てておらることが見て取れる。また、仮設住宅で暮らしている高齢者の中には、何もすることが無いこと自体がストレスになったり、それがきっかけで認知症が進行したという方もおられるようだ。園芸活動というと趣味道楽のたぐいで、避難先ではふさわしくない贅沢行為であるように思われがちであるが、じつは、日々、植物を育て、植物とともに生きることが心の支えになり、健康の保持・増進をもたらすのである。

 今回の震災に限らず、地震や台風などの自然災害で長期間の避難所生活、あるいは仮設住宅暮らしを続けておられる方すべてに当てはまると思うが、衣食住の最低限の環境は、物質的な支援が行き届くようになればとりあえずは満たされるようになる。しかし、スキナーが言う人類最高の権利「能動的に行動して強化される権利」というのはそれだけでは守られない。臨床心理士や医師・看護師を派遣する以前に、まずは、その権利を守り、病気にならない環境作りを整えることのほうが先決であろう。そういう一環として、園芸活動は大いに寄与できると私は考える。

 もちろん、園芸活動だけがすべてではなく、様々な能動的・主体的活動が強化されるような環境作りを総合的に進める必要がある。先日放送された徹子の部屋;田部井淳子さんの番組では、田部井さんが被災地の人たちと山登りをしているという話題が取り上げられていた。このほか、地元スポーツへの声援、地域の祭り、種々のイベントなども同様である。

 元の園芸療法の話題に戻るが、東北地方はこれから寒い時期を迎えるため、屋外での園芸活動はかなりの制約を受けざるを得ない。しかし、その中でも、屋内での鉢物、ビニールハウスなどは有効。また、チューリップやパンジーといった画一的な品種ではなく、どういう植物が育つのか分からないワイルドフラワーミックスのような種を蒔いたほうが、期待が持てるように思える。そして、いずれ、区画が整備された段階では、もう少し長期的視点に立った樹木の育成や公共花壇の整備に参加できる機会を増やすことが望ましいのではないかと思う。

 次回に続く。