じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 11月4日は霧の朝となった。写真は、半田山にかかる朝霧。なお、この霧は日の出の後でさらに深くなった。

11月3日(木)

【思ったこと】
_b1103(木)日本園芸療法学会2011年長野大会(7)主観的QOL(幸福観)評価としてのPGC-L(改訂版PGCモラールスケール)の活用

 2日目の午前中は、大ホールでの口頭発表と、ポスター発表が並行して行われた。ポスター発表は大ホールの入り口付近で行われていたがスペースが狭く、発表者も聴衆も窮屈そうに立っておられた。あくまで部外者の感想であるが、ポスター発表ではなくすべて口頭発表として、2教室に分けて行えばよかったのではないかと思う。

 口頭発表は全部で13件であった。例によって、各発表者の個人名は出さず、具体的内容にはあまり立ち入らず、参考になった点だけをピックアップして感想を述べたいと思う。

 興味深い発表の1つに、ナラティブ・ベイスト・メディスン(NBM)に基づき、主観的QOL(幸福観)評価としてPGC-L(改訂版PGCモラールスケール)、客観的な「良いとこ評価」の生活健康スケールを用いた研究があった。もっとも、発表自体は内容はリスクマネジメントえの影響を検討した2例の紹介にとどまっており、PGC-Lの活用の意義や、園芸療法の効果についてはよく分からなかった。

 なお、この発表では、対象者それぞれのPGC-L得点を園芸技法活動参加者(20名〜23名、時期により7名)全員の平均点と比較して有意差検定が行われていたが、これでは相対比較になってしまう。もし、当該の園芸技法活動が参加者全員のQOL向上に顕著な効果をもたらしたのであれば、その中の1名にも有効であったと結論すべきであろう。その場合、当該個人が集団の平均値より有意に高いか低いかということは問題ではない。例えば、遠足に参加した小学生7人に遠足が楽しかったかどうかを尋ね、全員楽しかったと答えたとする。その楽しさの程度を数値化すれば、個々人の数値は回答者全員の平均値の周りに高低さまざまに分布する。その際、平均値より低い値をとった子は半数程度は居るはずだが(全員が平均値より高くなることはあり得ない)、低いからといって楽しくなかったというわけではなかろう。このことを含めて、統計的検定の部分には疑問符をつけざるを得ないところが散見された。

 とはいえ、ナラティブ・ベイスト・メディスン(NBM)という視点、モラールという構成概念(Lowton(1972)によれば、「モラールが高い」とは、「自分自身について基本的満足感を持っていること」、「環境の中に自分の居場所があるという時間を有する状態」、「動かしえないような事実についてはそれを受容できていること」)を導入することの意義については十分に理解できた。

 次回に続く。