じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 _b1109(水)日本園芸療法学会2011年長野大会(13)やる気スコア(2) 昨日の日記で、「やる気スコア」と呼ばれる意欲の低下を測る尺度について取り上げた。この尺度は、脳卒中の患者さんの「無気力・無関心」の度合いをチェックする目的で開発されたものと見受けられたが、ここでは、一般的な「やる気」の問題に関連づけてもうすこし考えてみたいと思う。じつは、今度の土日に、放送大学面接授業として『動機づけの行動分析学』というお話をさせていただくことになっているのだが、「動機づけ」という概念も、基本的には、「行動を一定の方向に向けて生起させ,持続させる過程や機能の全般をさす」(有斐閣 心理学辞典)と定義されており、特定行動についての「やる気」を高めて持続させるにはどうしたらよいかという点で「やる気」の話と一致する。 もっとも、行動分析学の考え方から言えば、「行動を一定の方向に向けて生起させ,持続させる過程」というのはまさに「強化」であって、動機づけを分析するということは、強化の仕組みや分類、確立操作、ルール支配などをどう体系化するか、あるいは、動機づけ諸理論の中でしばしば強調されている「達成動機づけ」、「自己決定理論」、「内発的動機づけ」、「有機統合理論で提唱されている各種の調整」などを、行動随伴性概念とどう結びつけていくのかということが課題にはなるが、どう転んでも「やる気」を行動の原因と見なすことはあり得ない。 そういう視点から、昨日引用の「やる気スコア」の項目を見渡してみると、例えば、
さて、当該の口頭発表では、急性期の患者さんに園芸活動(植物観察や名札書き、園芸日誌記入など)に参加してもらい、その「やる気スコア」の変化を、「意欲改善(初期は意欲低下、最終評価で意欲低下なし)」、「低下不変(初期、最終とも意欲低下)」、「意欲維持(初期、最終とも意欲低下なし)」、「意欲低下(初期には意欲低下なし、最終評価では意欲低下あり)」という4分類の比率で分析していた。意欲改善と意欲維持が過半数を占めていたものの、低下不変もかなりあり、また、園芸活動参加の効果がどの程度反映しているのかが不明確であるような印象を受けた。口頭発表という性質上詳細は分からなかったが、画一的な園芸活動を集団で実施するのではなくて、参加者個人個人の興味や好みをあらかじめ調査した上で、それぞれに適合した園芸療法プログラムを実施することが絶対に必要であると思った。 次回に続く。 |