じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡山でも暴風。4月3日の岡山は、「爆弾低気圧」と寒冷前線の通過で、午後12時から13時のあいだに6.5ミリの雨を記録した(合計では13.5ミリ)。その後、風が強くなり、13時33分には岡山市北区の4月としては観測史上最大の瞬間風速33.7メートルを記録、また14時台には平均で20.2メートルの強風が吹き荒れた。

 写真上は、研究室の窓から眺める大雨(12時19分頃)。写真下は、マスカットユニオン前。

4月3日(火)

【思ったこと】
_c0403(火)第17回人間行動分析研究会(9)価値を測る:マッチング関数・割引関数・需要関数(1)

 3番目は、伊藤正人先生による、

「価値を測る:マッチング関数・割引関数・需要関数」

という話題提供であった。3月25日の日記に書いたように、伊藤先生の演題は当初は「私の研究:来し方行く末」 となっていたが、直前に目のご病気に罹られてって発表のご準備が間に合わず、昨年行われた退官講義の演題に差し替えられたとのことである。速やかな御治癒をお祈りしたい。

 さて、この日の話題提供ではまず、価値ということに関して、アリストテレス『ニコマス倫理学』より、
どのような術もどのような論究も、行為も選択もみな同じように、あるひとつの善きものをめざしていると考えられる
という一節が紹介された。ちなみに私は、アリストテレスのことは、大学院受験の前にラッセルの西洋哲学史の本を読んだ程度であり、上掲の一節がどういう文脈で語られたのかはよく分からない。但し、四原因説は、行動の原因をとらえるさいに重要な考え方であり、もう少し深く学びたいとは思っている。

 続いて取り上げられたのは、「価値測定」前史であった。伊藤先生というと、実験的・量的行動分析の正統・主流派というイメージが強いが、実験(というか、この場合は測定)という点で共通性があるのだろうか、
  • 実験心理学と心理測定
  • フェヒナーの法則
  • 心理物理学の誕生
  • 心理物理関数
  • スティーブンスのベキ法則
といった、古典的な心理学研究の原点に戻って話を始められた。

 伊藤先生によれば、実験心理学の基本は、「実験という方法から、物理量の変化に対する心理量の変化を定量的に求める」ことにある。(←このあたりは、「無作為な割り付け」を前提とした実験的方法の考え方とは大きく異なっている。) いずれにせよ、すでに、フェヒナーの対数法則において、
いま、5円を持っている人に1円をあげたときの、主観的価値の増加は、100万円持っている人より大きい
といったあたりは、今回の話題提供後半の、実験的行動分析による「価値測定」と共通点が多い。

次回に続く。