じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 _c0403(火)第17回人間行動分析研究会(9)価値を測る:マッチング関数・割引関数・需要関数(1) 3番目は、伊藤正人先生による、 「価値を測る:マッチング関数・割引関数・需要関数」 という話題提供であった。3月25日の日記に書いたように、伊藤先生の演題は当初は「私の研究:来し方行く末」 となっていたが、直前に目のご病気に罹られてって発表のご準備が間に合わず、昨年行われた退官講義の演題に差し替えられたとのことである。速やかな御治癒をお祈りしたい。 さて、この日の話題提供ではまず、価値ということに関して、アリストテレス『ニコマス倫理学』より、 どのような術もどのような論究も、行為も選択もみな同じように、あるひとつの善きものをめざしていると考えられるという一節が紹介された。ちなみに私は、アリストテレスのことは、大学院受験の前にラッセルの西洋哲学史の本を読んだ程度であり、上掲の一節がどういう文脈で語られたのかはよく分からない。但し、四原因説は、行動の原因をとらえるさいに重要な考え方であり、もう少し深く学びたいとは思っている。 続いて取り上げられたのは、「価値測定」前史であった。伊藤先生というと、実験的・量的行動分析の正統・主流派というイメージが強いが、実験(というか、この場合は測定)という点で共通性があるのだろうか、
伊藤先生によれば、実験心理学の基本は、「実験という方法から、物理量の変化に対する心理量の変化を定量的に求める」ことにある。(←このあたりは、「無作為な割り付け」を前提とした実験的方法の考え方とは大きく異なっている。) いずれにせよ、すでに、フェヒナーの対数法則において、 いま、5円を持っている人に1円をあげたときの、主観的価値の増加は、100万円持っている人より大きいといったあたりは、今回の話題提供後半の、実験的行動分析による「価値測定」と共通点が多い。 次回に続く。 |