じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 妻の実家から戻る途中、秋吉台に立ち寄った。写真は、某サファリランドで特別展示されていたパンダ「カンカン」の剥製。「カンカン」はメスの「ランラン」とともに、1972年10月28日、日本に来日した最初のパンダとして知られている。上野動物園で人気を集めていたが、1980年6月30日に死亡した。

 もっとも、私自身は、人の集まる場所は好まないこともあって、上野動物園のパンダは一度も見に行ったことがなく、「カンカン」とはこれが人生最初の対面であった。(パンダそのものは、東チベット旅行の際に、間近で観たことがある。) 土曜日の昼にも関わらず、この剥製を見に来る人たちはまばらで、ましてこういうツーショットを撮る人は他には誰も居なかった。「客寄せパンダ」という言葉があるが、剥製では人気が出ないのだろうか。

8月18日(土)

【思ったこと】
_c0818(土)TEDで学ぶ心理学(13)見せるプレゼン(3)Why people believe weird things(2)ガリレオには土星はどう見えたか?/angleとangel

 昨日に続いて、

Michael Shermer: Why people believe weird things.(2006年)
の感想とコメント。

 プレゼン前半の中では、初めて土星に望遠鏡を向けたガリレオにとって土星はどのように見えたのかという話題が面白かった。なおTED公式サイトに掲載されているこの部分の日本語訳には一部誤訳やわかりにくい部分があるので、【 】内に補足しておく(←但し、一部は意訳)。
On a more serious note, in all of science we're looking for a balance between data and theory. In the case of Galileo, he had two problems when he turned his telescope to Saturn. First of all, there was no theory of planetary rings. And second of all, his data was grainy and fuzzy, and he couldn't quite make out what it was he was looking at. So he wrote that he had seen -- "I have observed that the furthest planet has three bodies." And this is what he ended up concluding that he saw. So without a theory of planetary rings and with only grainy data, you can't have a good theory. And it wasn't solved until 1655.
さらに深刻に言えば【ここでもう少し真面目な話題を取り上げます。】どの分野の科学においても 私たちはデータと理論の【調和】バランスを探しています。ガリレオの場合でいけば 彼が望遠鏡を土星に向けるとき まず初めに惑星の環があるという理論はありませんでした そして2つめに彼のデータは粒状性で【解像度が悪く】あいまい【ぼやけていて】で 彼は自分が何を見ているのか見分けることができませんでした。ですから彼は「私は最も遠い惑星は3つの本体があることを観察した」。そしてこれが彼の記録を締めくくりました【彼が観たことについての最終結論でした】。惑星の環の理論がなく粒状性の【解像度の悪い】データがあったとしたら 正しい理論を立てることはできません。これは1655年まで解明されませんでした

This is Christiaan Huygens's book in which he cataloged all the mistakes that people made in trying to figure out what was going on with Saturn. It wasn't till -- Huygens had two things. He had a good theory of planetary rings and how the solar system operated. And then, he had better telescopic, more fine-grain data in which he could figure out that as the Earth is going around faster -- according to Kepler's Laws -- than Saturn, then we catch up with it. And we see the angles of the rings at different angles, there. And that, in fact, turns out to be true.

これを解明したのは人々が土星に何が起こっているかを解明するときの全ての間違いが記された クリスティアーン・ホイヘンスの本でした。【こうした誤りを払拭したのは、クリスティアーン・ホイヘンス(Christiaan Huygens)の本でした。彼は本の中で、それまでの人々が土星についてめぐらせてきた諸々の考えが誤りであったことを指摘しています。】これはホイヘンスが2つのことに気が付くまでずっと続きました【ホイヘンスは、2つことに気づくことで、初めてそれを指摘できました。】 彼は惑星の環と太陽系の仕組みに関するまともな理論を立てていました。それから彼はよりより望遠鏡を持ち、ケプラーの法則通りに地球が土星よりも早く動いている【速く公転している】ということを見られるくらい【より解像度の高い望遠鏡を持っていました】 より鮮明なデータも持っていて私たちはそのことを知りました。 私たちはそれぞれの天使がそれぞれの天使の輪を持っているのを知っています。【そうしてこの図に示すように、異なった角度から、土星の環の方向を、異なった角度から観測することができます。】そしてこれは実際に本当だということがわかります。【このようにして、環の理論が実際に正しかったことが明らかになりました。】
 この部分に限らず、TED公式サイトで表示されている日本語トランスリプトは、機械翻訳風のぎこちない日本語になっていたり、今回指摘したような誤訳が含まれていることが少なくない。もっとも、英語スクリプトの「angle」が機械翻訳で「angel」に化けることは考えにくいが。(今回のプレゼンに関しては、「Translated into Japaneseby Maiko Nishi/ Reviewed by Hidetoshi Yamauchi」となっていた。) 英語の勉強をされている中高生や大学生の皆さんは、訳文をそのまま鵜呑みにしないよう、念のため忠告させていただく。

 次回に続く。