じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 農学部農場でこれまであまり見かけたことの無いイネ科の植物が育てられている。岡大ブランドで吉備団子を製造していることからみて、キビではないかと推測される。

8月20日(月)

【思ったこと】
_c0820(月)TEDで学ぶ心理学(15)見せるプレゼン(5)「Sixth Sense」と「物忘れ回復機」

 「見せるプレゼン」の4番目として、
Pattie Maes and Pranav Mistry demo SixthSense.(2009年2月)

を取り上げたいと思う。このプレゼンは、NHKのスーパープレゼンテーションでも4月9日に紹介されている(その後も再放送あり)。

パティ・メースとプラナフ・ミストリー「"第六感"開発中」
 もっとも、NHKの番組のナビゲーターの伊藤穰一(いとうじょういち)氏が、マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボの所長であるということで、同じ研究所の宣伝をしているという印象が無いわけでもなかった。

 それと、このプレゼンで使われたのとほぼ同じ画像は、

Pranav Mistry: The thrilling potential of SixthSense technology(2009年11月)

でも紹介されている。前者(Pattie Maes and Pranav Mistry)のプレゼンで開発者として紹介されたPranav Mistry氏が直接、開発の動機を語るというもので、インド系の訛りはあるが、こちらのほうが分かりやすいようにも思う。なお、アクセス数は、2012年8月21日朝の時点で、前者が652万927Views、後者は866万4234Viewsとなっていて、後者のほうが8ヶ月ほど遅かったものの、すでに多くのアクセスを集めている。NHKのほうであえて前者を取り上げた理由はよく分からない。Pranav Mistry氏のインド系訛りが聞き取りにくいと思われたためだろうか。

 さて、それではそもそも、「sixth sense」とは何か?ということになるが、Pattie Maes氏のプレゼンの冒頭では、
I've been intrigued by this question of whether we could evolve or develop a sixth sense -- a sense that would give us seamless access and easy access to meta-information or information that may exist somewhere that may be relevant to help us make the right decision about whatever it is that we're coming across.
私は「第六感」のようなデバイスを開発できるかどうか興味がありました。適切な意思決定をするために、有用な、どこかに存在するであろう情報 あるいは”情報を探すため”の情報に、いつでも簡単にアクセスできる感覚です。
として定義されている。

 よって、これは、本来の「第六感」の意味とはかなり異なるようである。ちなみに、本来の「第六感」の意味は、ウィキペディアでは、
第六感(だいろっかん、sixth sense)とは、基本的に、五感以外のもので五感を超えるものを指しており、理屈では説明しがたい、鋭くものごとの本質をつかむ心の働きのことである。
として定義されている。また『新明解』では
直感的に何かを感じ取る心の働き
と定義されている。

 このほか、NHKで2010年11月17日に

サイエンスzero シリーズ五感の迷宮VI 科学が迫る“第六感”という話題が取り上げられている。番組記録サイトによれば、概要は
人間が持つと言われる不思議な能力「第六感」。第六感は、勘、直感、霊感、インスピレーションなどとも呼ばれる。この中で心理学・脳科学の分野で特に注目されているのが「直感」だ。
 「直感が働く」という時のメカニズムは、実は膨大な情報を無意識のうちに一瞬で処理して、判断を行っていることであることがわかってきた。また、好き嫌いを決めるとき、実際の決定の前に「無意識の選択」と呼ばれるプロセスが働くことも明らかになってきた。
となっている。この番組、確か録画してあったと思うが、DVDにダビングしてあるだけでまだ視ていなかった。これを機会に、そのDVDを探し出して視聴したいと思っている。

 でもって、直感、インスピレーションなど本来の意味の「第六感」からいうと、今回のプレゼンで紹介されたのは少々お粗末な気がしないでもない。むしろ、ドラえもんのポケットか、ユビキタスの概念、
ユビキタス (Ubiquitous) とは、「いつでも、どこでも、だれでも」が恩恵を受けることができるインタフェース、環境、技術のことである。 ユビキタスは、色々な分野に関係するため、『ユビキタスコンピューティング』、『ユビキタスネットワーク』、『ユビキタス社会』のように言葉を連ねて使うことが多い。
に近いようにも思える。

 プレゼンでは、新聞紙の上に動画を投映したり、電卓や腕時計が手や腕に投映されたり(電卓の写真ではなくて実際に使える電卓)していたが、こういうツールがあったからといって、直感能力が高められるというわけではない。興味深い取り組みであるとは思うが、うーむ、実用性はいかがなものだろうか。

 余談だが、8月20日朝の「モーサテ」では、リープモーションというベンチャー企業が開発した、空間認識センサー「LEAP」が紹介されていた。来年2月に70ドルで発売予定となっていて、3次元空間の操作、ゲーム、医療現場などでの活用が期待されているという。

 ちなみに、私自身は、今回のプレゼンで紹介されたようなツールの必要性はあまり感じていない。例えば、どこぞの観光名所に行った場合でも、まずは、何の予備知識も持たずに風景や歴史遺産を自分の目で感じ取ることが第一であり、諸々の解説は、必要に応じて後から入手すればよいというようにも思っている。

 私が必要とするのは、むしろ、「物忘れ回復機」というようなモバイルツールである。歳をとるごとに、何かの名前や、昔、Web日記に書いたことなどがなかなか思い出せないで困ることが少なく無い。パソコンが目の前にある環境ではConceptSearchというソフトが結構役に立っていたのだが、あまり需要が無かったのか、すでに出荷終了となり、Win7に対応しなくなってしまった。Googlenのカスタム検索でも同じようなことはできるのだが、個人情報が宣伝に利用されそうな気がして、最近は利用しないことに決めている。

 次回に続く。