じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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2012年版・岡山大学構内の紅葉(12)理学部前のモミジ越しに眺める時計台前の紅葉

定点観察の1ポイントとなっている理学部前のモミジ越しの紅葉風景。手前のモミジはまだ紅葉が始まったばかりで、鮮やかさはイマイチ。というか、今回のような快晴の日は、コントラストが強すぎて、フラッシュ撮影であってもモミジのウラ側が黒っぽくなってしまうようだ。

過去の記録は以下の通り。

11月20日(火)

【思ったこと】
_c1120(火)脳のはたらきからみた幸せのかたち(2)

 昨日の続き。

 講演では続いて、脳の可塑性と、「脳のニューロン間の配線は一生変化し続ける」という話題が取り上げられた。脳の可塑性については、サルを被験体として人工的に脳梗塞を発生させたあとのリハビリ過程、水頭症で大脳があったはずの空間の大部分が液状になっていても普通の知能を保っていた人などの例が紹介された。この可塑性は、認知症の定義において重要となる。すなわち、
認知症:脳内神経機能の可塑性を上回って、神経機能低下(神経細胞の脱落)が引き起こされること。
を意味するからである。よってそれを予防するためには、まずは脳内ニューロンの細胞死を抑制することが必要であるが、それと併せて、残っているニューロンのネットワーク機能を促進し、可塑能力を発揮させることによる改善も重要となる。細胞死を抑制する有効な手立てが無かったとしても、後者をうまく活用すれば、認知症の進行を食い止め改善することができる可能性がある。

 講演ではさらに、神経伝達物質としてのグルタミン酸とGABAの役割、ドーパミンとセロトニンとの関係が取り上げられた。全くの素人である私にはなかなか難解な部分であったが、自動車の喩えで言えば、アクセルがグルタミン酸、ブレーキがGABA、そして、ギアの役割を果たすのが、ドーパミン(トップ)とセロトニン(ロー)ということになるらしい。もっとも、ドーパミンとセロトニンをギアに喩えてしまうと、直交関係が失われてしまい、二次元上での気分の分類に使えなくなってしまうような気もした。

 このほかの重要な点として、神経伝達では、活動電位は他のニューロンからシナプスを通じてバラバラに入ってくること、しかし同期がないと、閾値を超えないためその先には伝わらない。同期を起こりやすくするためには、いろいろなチャンネル(五感)からの刺激が同時に入力されることが必要であり、それゆえ、五感がフルに使われるほど記憶に残りやすくなり、情動と一緒に動かされた刺激は強固な記憶となりやすいという。こうした記憶の「イベント性」は、おそらく、進化の過程でサバイバルに有用であったためと考えられるという。

次回に続く。