じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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岡大七不思議の1つ、「謎の橋」消滅。2月27日の日記で、「謎の橋」と水の流れていない「謎の小川」の話題を取り上げたが、3月1日以降の工事により、謎の橋は撤去されていたことが判明した。写真右は、工事前の様子。
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2013年03月3日(日)

【思ったこと】
130303(日)第18回人間行動分析研究会(1)他者のルールが行動に及ぼす影響

 表記の研究会が、3月2日(土)の午後、関西学院大学大阪梅田キャンパス(K.G.ハブスクエア大阪)で開催された。この研究会は昨年も参加しており、2年連続、(たぶん)5回目の参加となる。今回は4名の方からの話題提供があったが、いずれも、単に、御自身の研究発表にとどまらず、そのテーマをなぜ選んだか、どこが面白いのか、他の分野の研究者とは着眼点がどう違うのかといったお話を伺うことができて大変参考になった。全国規模の学会では、発表者数が多いこともあって、1人あたりの発表時間が15分とか20分に制限されていたり、ポスター1枚での概要紹介となることが多く、外部資金の研究成果公表のアリバイづくりが目的ではないかと思われるフシさえあり、あまり興味がわかない。この研究会のように、1人あたり50分くらいの時間をかけて、じっくりとお話を伺い、かつ十分な質疑が保証されていないと、多額の交通費・宿泊費を使って参加する意味が無いようにも思う。

 今回の4件の話題提供については、まだ、投稿中や印刷予定の論文が含まれているということなので、具体的内容にふれるようなコメントは差し控えさせていただく。その上でいくつか、思ったことを述べさせていただ。

まず、

●他者のルールが行動に及ぼす影響

に関しては、「【同級生の○○さんは】合格するために1日16時間勉強しているよ」という他者からの情報が当人の行動にどう影響するかという導入部分の話題を興味深く拝聴した。「1日16時間勉強する」というのはかなり無理のある不適切なルールであるが、従っていて不利益になるような場合は従わなくなる(Galizio, 1979; Hackenberg & Joker, 1994)いっぽう、従っていても不利益にならない場合は従い続ける(Hayes et al., 1986; 小野, 2005)という研究結果が報告されているという。ここで話題提供内容からは脱線してしまうが、「合格するために1日16時間勉強しているよ」というのは、行動分析学でいうところのオーソドックスな「ルール」に当てはまるのかどうかという点が若干疑問に思った。

 行動分析学でいう「ルール」とは「行動随伴性を記述したタクト」であるというのが基本ではないかと思うが、2011年9月29日の日記にも記したように、「ルール」が行動に影響に及ぼすプロセスは多種多様であって、かつ、形式的にはルール支配であっても実際の行動は別の直接効果的随伴性によって強化されているということもアリではないかと思われる。上掲の「○○さんは合格するために1日16時間勉強している」というタクトの場合も、
  1. 「毎日16時間の勉強すれば合格という結果が随伴する」という好子出現の随伴性を記述したルール
  2. 「毎日16時間の勉強をしなければ不合格という嫌子が出現(もしくは、合格という好子が消失)してしまうという、嫌子出現阻止または好子消失阻止の随伴性を記述したルール
  3. 「あの参考書は受験に有効」と同じような意味での「1日16時間勉強は受験に有効」という弁別刺激としての機能
  4. 【○○さんがライバルであった場合】○○さんより勉強時間が少ないことは、「ライバルに負けている」という嫌悪的結果をもたらすのでこれを阻止するために16時間勉強するという、嫌子消失による強化
などいろいろなケースが考えられる。なので、ひとくちに「他者のルール」といっても、影響が及ぶ内容や程度はケースによって異なるのではないかという気がした。

 なお、本題の話題提供のほうはなかなか興味深い内容であったことを付け加えさせていただく。

 次回に続く。