じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 ヘクソカズラの花。見頃を迎えたと言いたいところだが、ヤブガラシと並ぶ、蔓性迷惑雑草のチャンピオン。もっとも、中には、世界中で一番大事にされているヘクソカズラというのもあります。


2014年7月5日(土)

【思ったこと】
140705(土)長谷川版「行動分析学入門」第11回(3)好子消失の随伴性による弱化
 基本随伴性の4番目は、「好子消失の随伴性による弱化」について説明します。この随伴性は、あらかじめ存在していた好子が、行動すると失われてしまうという随伴性です。当然、そのような行動は弱化されます。体罰などの暴力的手段を伴う「嫌子出現の随伴性による弱化」に比べると有害性が低いことから、教育現場や家庭内で用いられることがあります。じっさい、英語でも、嫌子出現による弱化が「Negative Punishment」と呼ばれているのに対して、好子消失による弱化は「Positive Punishment」とも呼ばれています。

 嫌子消失の随伴性による強化のところで、

「嫌子消失による強化」というのは、まずは嫌子が存在していることが前提

と書きましたが、ここで述べる「好子消失による弱化」も、まずは、好子が存在していることが前提となります。それゆえ、もし、すべてを失い、何の楽しみも無いという人がいたとしたら、好子消失によって行動が弱化されることはありません。[
 そういう人でも、嫌子は存在するでしょうから、嫌子出現による弱化はあり得ます。すべてを失い、何の楽しみも無いからといって自殺しないのは、自殺行為が痛みや苦しみという大きな結果【大きな嫌子が出現】を伴うためです。


 上記のような極端な例外を別とすれば、たいがいの人は、モノとしての好子をたくさん保有しています。また、モノではありませんが、テレビ、映画、ゲーム、談笑のような機会も好子になっています。好子消失の随伴性」とは、ある行動をした時に、そのようなモノや機会を奪ってしまうような随伴性のことです。
  • モノが奪われてしまう随伴性のことは「反応コスト」とも呼ばれています。具体的には、
    • 交通違反に対して罰金:違反行動をすると、財布の中からお金という好子が消失
    • おやつを取り上げ:おやつをこぼしたり紙くずを散らかしたりすると、おやつを取り上げてしまう【おやつという好子が消失】
    • 単位を取り消す:カンニングをすると、その学期の取得単位がすべて取り消される【単位という好子が消失】
  • 好子となるような機会を奪うことは「タイムアウト」と呼ばれます。具体的には、
    • 禁固刑:日常の娯楽や交流などの好子への接近を禁止する。なお、懲役の内容が嫌子であるような懲役刑は好子消失ではなく、嫌子出現の随伴性になる。
    • 反省室:規則をやぶった子どもを一定時間、反省室に収容する。友だちと遊ぶ機会が奪われるので好子消失となる。
 繰り返しになりますが、好子消失の随伴性による弱化が有効となるためには、強力な好子が存在していることが前提となります。そのためには、好子の機能を強めるような確立操作が必要です。
  • 禁固刑が有効になるためには、刑務所の外の世界で、いろいろな楽しみが存在していることが前提です。出所しても苦しい生活しか待っていないという人にとっては禁固刑は罰になりません。現に、刑務所に入れてもらうために犯罪を犯す人もいます。【よって、服役中に、仕事や趣味などの楽しみを学び、出所後にちゃんと就職できるようなサポートをすることが、再犯の防止につながります。】
  • おやつが嫌いな子どもにとっては、おやつを取り上げることは好子消失にはなりません。これを有効にするためには、子どもにとって大好物になるようなおやつを探す必要があります。
  • 施設内でみんなで遊ぶよりも、一人で部屋にこもったほうがいいという子どもがいれば、反省室収容は好子消失にはなりません。この場合も、当人に、さまざまな楽しみ方を身につけさせることが必要です。
  • 罰金が有効となるためには、その人にとってお金が好子であり、かつ罰金額が十分な好子消失となることが必要です。年収1億円の大金持ちにとっては、罰金1万円程度は大した消失にはなりません。


次回に続く。