じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 9月6日(日)は、第三種電気主任技術者試験が岡大構内で行われており、文学部中庭や講義棟周辺で大勢の人が休憩・食事をしておられた。気になる敷地内違反喫煙対策であるが、今回は、構内各所に禁煙の注意書きが掲示された。そのおかげで、私が何度か見渡した限りでは、喫煙行為は全く見られず、まことに喜ばしい試験日和となった。他の外部試験でも、このような手厚いご配慮をお願いしたいところだ。

 電気主任技術者と言えば、喫煙の認められていない場所でのお仕事が多いのではないかと拝察される。喫煙できずに不便を感じられた方は、これを機会に、ニコチンに操られることのない健康な体をつくっていただきたいと思う。

2015年09月06日(日)


【思ったこと】
150906(日)『嫌われる勇気』(51)「関係フレーム理論」、「ACT」との比較(10)

 9月1日の続き。このところ、本題の『嫌われる勇気』から離れて、価値の話題をずっと取り上げてきた。そのまとめと復習を兼ねて、武藤氏の「価値とACT」(『こころのりんしょう、 第28巻01号、2009年3月』)という記事から興味深い部分を引用させていただくことにしたい。

 まず、価値とは「何である」のか?に対しては、
継続的かつ動的で、発展していくような活動のパターンに対する『結果(consequences)』のこと。その『結果』は、自由に選択され、言語的に構築されたものである。また、それによって、その活動パターンに対する主要な強化子【好子】が確立される。但し、その場合の強化子は、その価値づけられた活動自体の中に組み込まれ、備わっている。
というWilsonの定義を引用しておられた。

 この定義は、Skinnerの幸福(生きがい)の定義:
Happiness does not lie in the possession of positive reinforcers; it lies in behaving because positive reinforcers have then followed.
幸福とは、正の強化子【=好子】を手にしていることではなく、正の強化子【=好子】が結果としてもたらされたがゆえに行動することなのです。
と似ているところがあるいっぽう、
  1. 言語的に構築されたものである。
  2. その場合の強化子は、その価値づけられた活動自体の中に組み込まれ、備わっている。
という点に大きな特徴があるように思われる。

 このうち1.は、ACTの大きな特徴であり、行動活性化療法(Behavioral Activation、BA)など、行動分析学に根ざした関連療法とはかなり異なっているようだ。ちなみに、そもそもBAでは「価値」とか「価値づけ」という言葉は出てこない。

Kanter, Baruch, & Gaynor (2006). Acceptance and Commitment Therapy and Behavioral Activation for the Treatment of Depression: Description and Comparison. Behavior Analyst, 29(2), 161-185.

という論文【無料閲覧可能】にBAとACTとの違いが分かりやすく指摘されており、その中でACTにおいて「価値」が重要な地位を占めていることを指摘している。【下線は長谷川による】。
ACT includes behavioral activation as well, but focuses instead on values and commitment, again emphasizing verbal over nonverbal processes. According to ACT, in addition to a functioning acceptance repertoire, a set of clearly defined values and associated goals are essential prerequisites for guiding activation. Values, defined in ACT as “verbally construed global desired life consequences” (Hayes et al., 1999, p.206), may be seen as self-rules (specifically augmentals) that strategically take advantage of the insensitivity to contingencies generated by rule-governed behavior.


 もうひとつの2.については、付加的強化随伴性ではなく自然随伴性(行動内在的随伴性、ビルトイン随伴性)を重視しているようにも思われる。もっとも、対人関係に関わる価値の場合、相手からの感謝、賞賛、励ましなどを、どこまで付加的、どこまでを行動内在的と区別できるのかは微妙なところがある。

 不定期ながら次回に続く。