じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 151118(水)理論心理学会公開シンポ(4)心理学の将来のあり方を考える(3) 昨日に続いて、北村氏の話題提供のメモと感想。 話題提供では、心理学の科学としての側面と、一般の人たちの受け止めとのギャップについていくつか指摘があった。【あくまで長谷川の聞き取りのため誤解があるかもしれない。念のため。】 そのひとつは「説明率」に対する理解不足であり、0(ゼロ)か1(イチ)かといった二者択一型の判断をする傾向にあること、また多数の人たちの中での確率的傾向と個人の行動予測とのギャップもある。「人による」、「場合による」というように「〜もある、〜もある」と言えば話はそこで終わってしまう。実際、バラエティ番組などに出演する「心理評論家」たちは、このあたりをうまくごまかして、視聴者を納得させているところがあるように私も思う。 このあと、感情心理学、社会心理学、パーソナリティ心理学などが、一般社会にどの程度お役に立っているのかが論じられた。社会心理学は、人間の行動パターンの大全集、人間についての物知りという面がありそれなりに他人様のお役になっている点などが指摘された。 次にサイエンスリテラシーとの関係で、国際成人力調査(PIAAC:ピアック)の国際比較結果に言及された。OECD加盟国等24か国・地域(日、米、英、仏、独、韓、豪、加、フィンランド等 )で、16歳〜65歳までの男女個人を対象として、「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」などについて実施された調査であるが、リンク先の結果示す通り、日本は、多くの項目でなんと世界一の水準に達しているという。もっともそのわりに、占いっぽいエセ心理学が横行している。 なお、放置自転車防止の「目力」看板の話題に言及されていたが、社会心理学の応用例として紹介されていたのか、オカルト的な効果の例として紹介されていたのか、「日本人はコントロールされることを嫌う」という例として紹介されていたのか、思い出せなくなってしまった。 話題提供の終わりのほうでは、大学等で行われている研究が、「おままごと的な大量生産」になっている点、学界全体が「内向的な引きこもり団体」化している面について、批判的な言及があった。「おままごと的」というのはおそらく、現実から遊離し、変数操作に終始した実験実験や、論文生産のための論文のようなことをさしているものと思われた。もっとも、最近では、基礎心理学的な学会が社会貢献に取り組む動きもあり、以前ほどには象牙の塔になっていないようにも思われた。 次回に続く。 |