じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 岡大・時計台脇と農学部前のカイノキ。今年は、時計台脇の2本の雌樹が鮮やかな赤色に紅葉した。農学部前の雄樹(手前)は例年よりやや見劣り、雌樹(右奥)は種がたくさんできたせいか、紅葉のほうはイマイチだった。

2015年11月24日(火)


【思ったこと】
151124(火)理論心理学会公開シンポ(8)心理学の将来のあり方を考える(7)山本氏と實川氏の話題提供

 昨日の続き。

 話題提供の3番目は、山本氏による、

「心理学は人間科学の未来を形作る:Bridge over Interdisciplinary Study」

という内容であった。山本氏はピッツバーグ大学での心理学者たちの貢献と、ハイテクを駆使した最新の関連機器を写真つきで数多く紹介された。ウィスコンシン大学と比較しながら、Ph.D.をもった心理学者がいろいろな隣接領域で先導的役割を果たしている点が強調された。他の話題提供者や指定討論者からも表明されていたように、心理学はテクノロジーという点で大きく貢献している。人類にとって幸福をもたらすのか、単なる商業的利益の手段になるのかという議論は別として、健康医療をはじめ、多分野からのニーズがあることは間違いなさそう。

 続く4番目は、實川氏による、

「大風呂敷から小分け袋へ:思想史から見た心理学の成り立ちと未来」

という話題提供であった。實川氏はいつものとおり和服姿で登壇され、「聴衆の顔を見ながら」というお立場から、パワーポイントを使わずにじっくりとお話をされた。哲学的な内容であり、私には十分理解できない点もあったが、骨子として、
  • 心理学自体は昔からあったが、19世紀に大きな変化があった。
  • ヘルムホルツは、物理学は心理学に還元できると考え、心理学の研究に取り組んだ。
  • フロイトが無意識を論じたのも、意識が重視されていたからこそのアンチテーゼであった。
  • 「意識」はもともと「良心」という意味で使われていた。絶対的真理がなくてはならないというキリスト教的な信念のもとで、看板の架け替えで「意識」が重視された。
  • 「感覚」はもともとは肉体の反応であったが、上記の意識革命によりすべての意識の根源とされるようになった。
  • 内観重視から行動主義への転換も看板の架け替え。
  • 「心の囲い込み」→こちらの論文参照。
  • 心理学は、人間への介入という形では生き残るだろう。
  • 科学はアウトカム(結果を出す)を求める。心理学は、商業(企業活動における応用)や臨床面で発展する。みんな笑顔になるようなテクニックは開発されていくが、どういう状態が人間にとっていいのかという議論はしない。
といった点が論じられた【あくまで長谷川のメモに基づく】。

 次回に続く。