じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 東大の敷地内禁煙の看板。東大の場合は、ニコチン依存の大学関係者限定で喫煙所が設置されていると聞いているがどこにあるか分からなかった。また私が構内を通行した限りでは吸い殻は落ちていなかった。(但し、地下鉄東大前〜西方門の歩道上を通行中、火のついたタバコを持ったまま自転車を運転している年配男性とすれ違った時に受動喫煙の被害を受けてしまった。)

2016年03月05日(土)


【思ったこと】
160305(土)コミュニティで創る新しい高齢社会のデザイン(1)

 東大・安田講堂で行われた表記のシンポジウムに参加させていただいた。

 このシンポには2014年2月2014年3月にも参加したことがあるが、今回はいよいよ最終回。6年間に及ぶ研究開発の締めくくりとなった。

 全体に関連して、まず、いま何が問題となっているのかを整理しておきたい。しばしば言われるのは2025年、2030年、2035年、...2050年などに予想されている更なる高齢化の問題である。但し、これは、単に、人口の全体に占める高齢者の割合が増えるというだけではない。細かく見ていくと地域や世代によっても特徴があり、それぞれに合った対応が必要となっているようである。

 しばしば言われるのは、高齢者を支える働き手世代の割合が減っていく「胴上げ→騎馬戦→肩車」モデルであるが、これも単純に、生産年齢人口(15〜64歳の人口)の増加というだけでは結論できないようである。今回のシンポでも小宮山先生が論じておられたが、まず、いまの時代、中学を卒業して直ちに生産に従事する若者は殆どいない。そのいっぽう、65歳以上でも元気なお年寄りが増えており、基礎体力向上を示すデータも得られている。高齢者の社会参画が社会にとっても求められているという時代になっているようだ。

 地域差の問題も細かく見ていく必要がある。シンポで示されたデータによると75歳以上の後期高齢者の人数は、2015年には全国で1645.8万人、2025年には2178.6万人で532.7万人(32.7%)増加すると予想されている。この増加は、東京、神奈川、埼玉、千葉といった都市部に集中しているが、同じ東京の中でも、区部よりは市町村部のほうが顕著に増加率が高いといったデータもある。

 あと、この種のデータが示される時にあまり語られていないと思うのが女性の社会進出である。私が生まれ育った昭和30年代は、結婚すると主婦業に専念という女性がかなりの比率を占めていた。その時代には、女性は、子育てや両親の介護の面で大きく貢献していた。それに対して現在、実質的な生産年齢人口は女性が社会進出した分だけ増えているという面もあるはず。但しそのことが少子化の一因になっていることも確かである。

 そういう背景のもとで何ができるかということになるが、シンポでも小宮山先生が指摘されていたように、図書館にこもるような研究ではなく、地域に合った実装を目ざす研究が望まれる。今回のプロジェクト終了後も、開発された社会技術を現場でいかに活用するかという点に重点がおかれると聞いている。

 次回に続く。