じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
このところ岡山では雨の降る日が多く、4月27日(水)に19.5ミリ、28日(木)に16.0ミリの降水量を記録した。4月1日から28日までのうちで降水量が0.5ミリ以上を記録した日は10日、0.5ミリ未満を含めて何らかの降水を記録した日を含めると16日/28日となり28日間の57%を占めている。また4月の積算降水量は146.0ミリに達しており、平年値92.3ミリを大幅に上回っている。 写真は、水たまりに映る時計台とヒラドツツジ。デジカメのミラーモードで撮影しなくても、自然のミラーが大学構内各所に出現している。 |
【思ったこと】 160428(木)トールネケ『関係フレーム理論(RFT)をまなぶ』(12)オペラントとレスポンデント(5)消去と忘却 昨日の続き。 原書23〜24頁(翻訳書33〜35頁)では、レスポンデント消去とオペラント消去について概説されている。挙げられている事例はおおむね妥当と思われたが、1つだけ、 Although I once learned to ride a bike, this behavior might have been extinguished many years back if the reinforcing consequences ceased. If I get on a bike again, I might notice that I cannot ride it as well as before; nevertheless, this behavior is not unlearned.という部分は、消去ではなく、忘却の事例ではないかと思う。オペラント消去というのは、いままで強化されていた行動がもはや強化されなくなり、その結果として当該行動が起こりにくくなる現象のことであるからして、上記の自転車に乗るという行動に関して言えば、 ●ある都市で地球温暖化対策のため自転車通勤者に1日100円の報奨金を出していたとして、その後、予算事情により報奨金が廃止されたとする。そのことによって自転車通勤を止めてしまった。 というのが消去を示す妥当な事例となる【もちろん、健康増進目的や交通費節約目的で自転車通勤をしている人の場合は、消去されない】。トールネケが挙げていた例は、これとは異なり、自転車に乗るという行動が長期間生起しなかったことにより、複合的な運転スキルの一部がうまく生起しなくなったことである。もっとも、忘却という特殊な現象が別にあるわけではない。 ちなみに、杉山ほか(1998、83〜84頁)では、忘却の手続とは、「行動が行われる機会を与えないことである」とした上で、
元の話題に戻るが、臨床場面では過去の嫌な体験にどう対処するのかは、しばしば大きな課題となる。確実な消去あるいは忘却の方法があれば、過去の嫌な出来事が「今、ここ」の生活に悪影響を与えることを避けられるようになる。しかし現実には、何かの拍子に思い出し、その時の恐怖に怯えたり、後悔したりすることがある。本書では、 What we can establish at this juncture is that the key is to learn new things, rather than trying to extinguish what we have already learned.【原書24頁】 と結んでおり、RFTの観点やACTの種々の技法への繋がりが示唆されている。 次回に続く。 |