じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
5月23日に続いて、東西通りのサツキ第4弾。歩道上に花びらが落ち、赤帯が2列に伸びているように見える。 |
【思ったこと】 160525(水)トールネケ『関係フレーム理論(RFT)をまなぶ』(30)派生的関係反応(1)刺激等価性クラス(派生的刺激関係) 5月24日の続き。今回より第4章に入る。 第4章は、関係フレーム理論の基礎となる原理や関連する実験的証拠について詳しく解説があり、この章を読みこなすことは、RFTやACTの理解にとって必要不可欠となっている。まず冒頭(原書59頁、翻訳書83頁)では、言語行動について3つの課題が挙げられている。
第4章では続いてシドマンらによる刺激等価性クラス(ここでは「派生的刺激関係」と呼ばれている)に関する実験研究が紹介されていた。このあたりの内容と留意点については長谷川(2015)の2.2.および2.3で論じたことがある。要するに、刺激等価性クラスで検討されてきた反射率、対称律、推移律、等価率は、自然界の普遍的な法則といったものではなく、むしろ、出来事を区別・分類する際の処理形式のクセのようなモノとも言える。よって、いくらでも例外は挙げられるが、他者と交流したり、ある集団の中で協力したり、他集団と競争したりする中では、おおむね、当該の処理形式に従ったほうがメリットが大きく、適応的であると言える。 例えば、Aさん、Bさん、Cさんという3人に出遭った時に、AさんとBさんは仲良しであり、またBさんとCさんも仲良しであったとする。この場合、AさんとCさんが仲良しであるか、それとも三角関係であるのかを論理学的に推論することは不可能であるが、現実場面ではAさんとCさんが仲良しである可能性のほうが高く、そのように仮定して対処したほうがメリットが大きいと言うことはできる。 同じく、対戦成績を調べたところ、A選手はB選手より強く、B選手はC選手より強いという情報が得られたとする。この場合も、A>B>Cだからといって、必ずしもA>C、つまりA選手のほうがC選手よりも強いとは限らないが【←じゃんけんの手のように3すくみ関係ということもある】、おおむね、A選手のほうが強いと予測したほうが当たる確率が高いことは間違いない。 こうした派生的刺激関係は生得的にビルトインされたものではなく、言葉の学習と並行して習得されていくものと考えられる。例えば、親がホンモノの林檎を指さして「リンゴ」と発声することで、子どもも、「本物の林檎」→「リンゴという発声」を学習していくが、同時に、「リンゴはどこ?」というような会話を通じて、「リンゴという発声」→「本物の林檎」を学習していく。こうした学習は毎日絶え間なく繰り返されていくため、あまりにも当たり前のように受け止められてしまう。この点に関してトールネケは、 Most people may feel that this is self-evident. But the fact that it appears self-evident is probably due to the fact that this is something we are constantly doing. This behavior is universal among humans, which makes it seem natural to us. But if we are to explain verbal behavior, one of the difficulties lies precisely in that what we want to explain is something-natural or obvious to us. And yet, how obvious is this from a larger perspective? 【62頁】というように、注意を促している。 次回に続く。 |