じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 大学構内で見かけた大型のトンボ。撮影時、大型だったのでオニヤンマだろうと思っていたが、あとで図鑑で調べると、ヤンマやサナエトンボの仲間にもよく似た模様のトンボがあり自信が無くなってきた。

 なお大学構内では日曜日以降、ニイニイゼミと思われる「ジー」という鳴き声が聞こえるようになってきた。

2016年06月27日(月)


【思ったこと】
160627(月)トールネケ『関係フレーム理論(RFT)をまなぶ』(55)派生的関係反応(27)関係フレームづけ(1)

 6月23日までのところで、刺激機能が派生的関係に基づいて変容する例として、

Dougher, M. J., Hamilton, D., Fink, B., & Harrington, J. (2007). Transformation of the discriminative and eliciting functions of generalized relational stimuli. Journal of the Experimental Analysis of Behavior, 88, 179-197.

の内容を詳しく紹介した。原書83頁(翻訳書115頁)では、大小関係(序列関係)以外の実験研究として、
  • 反対の関係
    Dymond, S., & Barnes, D. (1996). A transformation of self-discrimination response functions in accordance with the arbitrarily applicable relations of sameness and opposition. Psychological Record, 46, 271-300.
    Whelan, R., & Barnes-Holmes, D. (2004). The transformation of consequential functions in accordance with the relational frames of same and opposite. Journal of the Experimental Analysis of Behavior, 82, 177-195.
  • 視点の関係
    McHugh, L., Barnes-Holmes, Y., & Barnes-Holmes, D. (2003). Training perspective-taking with a 4-year-old child. Paper presented at the First World Congress on ACT, RFT, and the New Behavioral Psychology, Linkoping, Sweden.
が紹介されていた。このうち、3番目の文献は配布資料だが、翌年以降に刊行された関連文献を通じて内容を把握することはできる。

 視点の関係をめぐる一連の研究は、「サリーとアン課題」などで知られる「心の理論」に対して、文字通り、新しい「視点」を提供している点で大いに注目すべきところがあるが、これらについては別の機会に述べることとしたい。

 さて、本書のほうは、いよいよRFTの核心とも言える「関係フレームづけ」の話題に入る。原書83頁(翻訳書116頁)には次のように定義されている。
Relating in the particular way described in this chapter is termed relational framing. A more technical term for this is arbitrarily applicable relational responding (AARR). This behavior is a generalized operant.
本章で説明されているような特有の仕方で関係づけを行うことは,関係フレームづけ(relational framing) と呼ぱれる。より専門的な用語を使うと,恣意的に適用可能な関係反応(arbitrarily applicable relational responding ; AARR)となる。この行動は,般化オペラントである。
 この定義で注目すべき点は、「般化オペラント」という言葉が使われている点である。同じ段落では続いて、
The term "generalized" is often used to describe operant behavior when it is important to emphasize that a particular behavior can only be described in a functional sense, and that it completely lacks topographical description. Other examples of such behavior are "imitation" or "doing something novel. Any type ofaction could belong to these categories, regardless of its appearance or topography.
この「般化」という用語は,特定の行動が,トポグラフィーによる記述はなく,機能的な意味においてのみ記述され得ることを強調することが重要な場合に,オペラント行動を説明するためによく用いられる。このような般化オペラント行動の例としては,ほかに,「模倣」や「新しい何かをすること」などがある。これらのカテゴリーには,どのような行為でも当ではめることが可能で,それは行為の見かけやトポグラフィーによらない。関係フレームづけもまた,この種の行為(般化オペラント行動)に含まれる。

 ここでいう、トポグラフィーというのは、行動を形態的な類似性によって分類するのではなく、その行動がどう機能しているのかという基準で区別するということを意味している。上にも言及されている「模倣」に関して言えば、あるタレントのAという行動の物真似をすることで周囲から注目されそれによって強化されている子どもは、同じタレントのBという別の行動も物真似するようになるという例を挙げることができる。この場合、行動Aと行動Bの間に形態的類似性が無くても模倣は起こる。「新しい何かをすること」に関しては、あるコミュニティにおいて年中行事が行われている中で、何か新企画Aを提案して高評を得た(=強化された)人は、別の機会でもまた新企画Bを提案するであろうという例が挙げられるだろう。この場合も、企画Aと企画Bの内容の間には何ら類似性は無いかもしれない。唯一の共通点は、A、Bいずれも、「従来には無かった」という特徴である。

 次回に続く。