じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 6月に雨が多かったことと、事務職員の定員削減などの影響により、文学部前の植栽が迷惑雑草に覆われるようになった。入口左側にはヤブガラシ、右側にはヘクソカズラがまきついている。グッドジョブ支援センターの顔見知りの職員にもお願いしてみたが、本来は部局で管理すべきエリアであるためなかなか手をつけられないとのこと。事務方にもお願いはしてみたが、作業に時間をとるほどの余裕はない。オープンキャンパス前には教職員学生による大規模な環境整備作業も予定されているが、その前に種ができてしまって、来年度以降にますます生い茂ることになりそう。

2016年07月05日(火)


【思ったこと】
160705(火)トールネケ『関係フレーム理論(RFT)をまなぶ』(61)派生的関係反応(33)文脈が持つ2つの側面が関係フレームづけを支配する(1)

 7月4日の続き。

 原書85〜87頁(翻訳書119〜120頁)では、リンゴを例にとって、刺激機能の変換の複雑さが説明されている。要約すると、
  • In real life the situation is much more complex. Most stimuli have a number of different potential functions, based on their physical properties, the direct relations established in the individual's history, and the individual's earlier history of relational framing.
    ...実際の生活の中では,状況ははるかに複維である。ほとんどの刺激が,それぞれの物理的性質, 個人の学習履歴の中で確立されている直接的関係,そして,個人の関係フレームづけの学習履歴に基づいて,いくつもの異なる潜在的な機能を有している。
  • When stimuli are put in relation via the type of contextual cues mentioned above ( "[...] is [...]," "[...] is located behind [...]," "[...] comes after [...]," and so on), the specific stimulus functions that come into play are selected from a wide array of possible functions. To say this more technically, given a particular relation, only certain stimulus functions among the many possibilities are transformed.
    刺激が, 先に述べたような文脈手がかり(「○○は○○である」,「○○は○○の後ろにある」,「○○は○○の後にくる」など)を通じて関係づけられるとき,実際に働きを発揮するようになる特定の刺激機能は,いくつもの生じ得る機能の中から選び出されることになる。より専門的に表現すれば,特定の関係を与えられたとき,多くの可能性の中から特定の刺激機能だけが変換される、...

 具体例としては、「リンゴ」という言葉が
  • Imagine an apple. リンゴを想像してみよう
  • Imagine eating an apple. リンゴを食べるところを想像してみよう
  • Imagine sitting on top of an apple. リンゴの上に座るところを想像してみよう
という3つの文脈において、異なる機能をもたらしていると論じられている。

 「リンゴ」そのものは実物のリンゴと等位の関係にあるが、「食べる」という言葉と同時に に提示されることで、現実の生活において獲得された「リンゴ」の機能のうち特定の機能が変換されるようになる。「上に座る」も同様。

 このようにRFTでは、ある時点で刺激間にどの関係が確立されるかを支配する文脈手がかりを、「Crel」、また、この関係に基づいてどの機能が選択されるのかを支配する文脈手がかりを「Cfunc」と呼ぶ。

 このリンゴの例と、「Crel」、「Cfunc」の部分は難解であり、大学院講義の際にも、留学生から「よく分からない」という声が上がっていた。

 本書では、
Crel and Cfunc and are functional classes, so we cannot say that any given factor can always be designated as one or the other. To make this determination, we have to analyze a given process or event, as is always the case for a functional analysis. The distinction between contextual cues that govern the relation and contextual cues that govern which stimulus functions among the many possibilities are transformed is not always an essential one, but it can be. One situ ation where the distinction is important is in certain clinical interventions.
CrelCfuncは機能クラスであり,そのため,私たちは,ある任意の要素がいつも必ずどちらかに指定されると言うことはできない。それを決めるためには,そのプロセスや出来事を分析する必要がある。これは,機能分析でいつもそうであるのと同じである。文脈手がかりのうちの,関係を支配するものと,可能性として起こり得る刺激機能の中から,実際にどれが変換されるかを支配するものとを区別することは,必ずしも大切なことではない。しかし,ときにはそれが重要になることもある。そのような区別が重要となる状況のひとつは, 特定の臨床的介入の際などである。
として、臨床的介入において区別が重要になると論じている。

 次回に続く。