じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡大構内のムシクサ(左)とツユクサ(右)。ムシクサはゴマノハグサ科の水田雑草であるが、最近、よく見かけるようになった。ツユクサは従来より各所に繁茂している。

2016年07月27日(水)



【思ったこと】
160727(水)トールネケ『関係フレーム理論(RFT)をまなぶ』(77)アナロジー、メタファー、そして自己の体験(13)視点取りと心の理論(1)

 昨日の日記では、「いま、ここで」の「いま」は瞬間としての点ではなく、ある程度の持続時間を前提とすると述べた。本書においても、「いま」は瞬間のことではなく、継続性を持つと論じられている。また、その継続性こそが、「自分自身」の期限になるとも述べられている。
And it is in this perspective, here and now, that our experience of self, of being an "I," originates. This is because it is the perspective that always exists for us, the perspective from which everything that happens to us is experienced, and the perspective from which we learn to talk about it as "I." And because this perspective is continuous, it gives rise to our experience of continuity: the experience of always in some sense being the same person - "myself."
そして,この「今一ここで」の視点の中にこそ,私たちの自己の経験,つまり「私」であること,の起源がある。なぜなら,これが私たちにとっていつも存在する視点であり,私たちの身に起こることが経験される立場の視点であり,また,私たちがそこから「私」と呼び習わしてその視点自体について譜ることを学ぶ視点だからである。そして,この視点は継続的なものであるから,そこから,私たちの継続性の経験が生まれるある種の感覚で,同じ人間であり続けているという経験一すなわち,「自分自身」の感覚である。


 続く「視点取りと心の理論」では、

Baron-Cohen, S., Tager-Flusberg, H., & Cohen, D.J. (2000). Understanding other minds: Perspectives from developmental cognitive neuroscience (2nd ed.). New York: Oxford University Press.

などに代表される「心の理論」が取り上げられている。その一連の研究の中では、自己と他者の視点を分離したり、他者に共感する仕組みについて検討が行われ、それらが困難であるとされる自閉症的な人たちを支援する方略についても開発されている。

Howlin, P., Baron-Cohen, S., & Hadwin, J. (1999). Teaching children with autism to mind-read: A practical guide. Chichester, UK: John Wiley & Sons.

 「心の理論」に対しては行動分析学の立場からも様々な検討がなされており、また、誤信念課題が設定する状況については、言語的能力を要求しすぎているのではないか(言語的教示内容を十分理解できない人は、それらの課題に正解できない)といった指摘などもなされているが、本書では、「視点取りを関係フレームづけとして理解する」という観点から、その意義を論じている。

 次回に続く。