じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 160831(水)トールネケ『関係フレーム理論(RFT)をまなぶ』(104)アナロジー、メタファー、そして自己の体験(40)「般化オペラント」についての復習(23)「般化オペラント」のルーツ(8) 昨日に続いて Barnes-Holmes, D., and Barnes-Holmes, Y. (2000), Explaining complex behavior: Two perspectives on the concept of generalized operant classes. The Psychological Record, 50, 251-265. に基づく般化オペラントの復習。この論文では、Catania(1996, 1998)による般化オペラントの定義が批判的に取り上げられている。
さて、昨日引用したように、Cataniaの第一段階の定義では、「般化オペラントは他のさまざまなクラスに埋め込まれたクラスを含むものである。言い換えれば、ある1つの般化オペラントはその中に、それ自体がオペラントとして機能しうるような他のクラスを包含している」といった内容であるが、これだけでは何のことか分からない。具体例として挙げられている「同一見本合わせ課題(identity matching)」と「般化模倣(generalized imitation)」について、実際どのように特徴づけられているのかを見ていくことにしたい。 このうち「同一見本合わせ課題(identity matching)」とは、見本が緑の時は選択肢の中から緑を選べば正解、見本が黄色の時は黄色を選べば正解となる。こうした訓練が十分に行われたのち、テストが行われる。テストでは今まで一度も見本刺激として提示されたことのない新しい色、例えば赤が提示される。「緑→緑」や「黄→黄」がそれぞれ独立した学習であるとするなら、一度も訓練を受けていない「赤→赤」という課題に正しく反応することはできないはずであろう。もし初回から正しく反応できていたとすれば、「(見本刺激と)同じ色を選ぶ」という「高次」の般化オペラントが形成されたと考えられる。 また別のテスト【テスト内容は長谷川による改変であり、原文の要約ではない。念のため】として、当初正解として設定されていた「緑→緑」、「黄→黄」を「緑→(緑以外の)別の色」、「黄→(黄以外の)別の色」というように変更したとする。その後のテストで「赤→(赤以外の)別の色」という反応がエラーなしに生じるとするならば、今度は「(見本刺激とは)別の色を選ぶ」という般化オペラントが形成されたという証拠になるだろう。 ここで素朴な疑問を1つ。「同じ色を選ぶ」とか「別の色を選ぶ」という時の「同じ色」とか「別の色」というのは、あくまで刺激間の関係が手がかりとなっている。確かに「選ぶ」というのは反応ではあるが、どういう反応でテストするか(ボタンを押すか、「右」「左」と発声するか、右手・左手を挙げるか、文字を書くか...)によって課題の本質が変わるわけではない。となると、この場合の「関係反応」というのは、
次回に続く。 |