じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 岡大西門・西側花壇の白花曼珠沙華。今が見頃。

2016年09月27日(火)



【思ったこと】
160927(火)トールネケ『関係フレーム理論(RFT)をまなぶ』(117)アナロジー、メタファー、そして自己の体験(54)「般化オペラント」についての復習(37)RFTからみた般化オペラント(9)

昨日の続き。

 これまで述べてきたように、反応の定義には形態的定義(トポグラフィーの同一性・類似性に基づく定義)と機能的定義がある。Barnes-Holmes & Barnes-Holmes. (2000)の論考では、般化オペラントは純粋に機能的に定義されている点を強調する目的で使用すると主張されている。

 実験的行動分析を行う際には、機能的定義は操作的定義をほぼ同義となる。例えばラットのレバー押し反応は
レバーが1ニュートン以上の重さで押下され、レバーに連動するマイクロスイッチがonとなり、さらにレバーが元の位置に戻ること
というように操作的に定義され、要件に合致した時に好子(強化刺激)を提示することで当該のレバー押し反応を強化することができる。

 しかし、野生動物の行動、さらには日常生活の諸行動を分析対象とする場合、行動がどのように機能しているのかは直ちにはわかりにくい場合がある。
 野生動物の行動を定義するような場合、まずは暫定段階として形態的に定義し、観察の結果によって機能的に再定義するという段階が求められる場合がある。例えば森の中である鳥が「チッチー」と鳴いたとする。形態的定義であればこの鳴き声の音声的な特徴により同定できるが、機能的定義では、この鳴き声が縄張りの存在として機能しているのか、求愛行動として機能しているのか、あるいは天敵に対する警戒音であるのかは充分な観察をした上でないと同定できない。
 機能的定義が、行動する側と、行動をコントロールしようとする側で異なってくる場合もある。すでに述べたことの繰り返しになるが、例えば農耕牛を使って畑を耕す場合、飼い主は畑の土がうまく掘り起こされるように、つまり牛の動きは「畑を耕す」機能として定義される。しかし牛自身がとる行動はあくまで「耕作道具が付けられた状態で脚を踏ん張って前に進む」というだけであって、それが耕作のためにどう機能したのかはどうでもよいことである。飼い主から叩かれないように、かけ声に合わせて前に進む(嫌子出現阻止の随伴性)という形でしか定義できない。

 いま述べた例にもあるように、機能的定義というのは、その行動が起こる文脈に依存せざるを得ない。じっさい、Torneke(2010)は、刺激機能と反応の関係について以下のようにも述べている【一部要約・改変あり】。
  • 刺激が有する機能とは、刺激に本質的に備えられた性質ではない。その機能は、より幅広い状況(文脈)と個人の反応についての分析を通じてしか決定することができない。【翻訳書97頁】
  • 関係フレームづけは、文脈がもつ2つの側面によって支配される。それらは、ある時点で刺激間にどの関係が確立されるかを支配する文脈手がかり(Crel、文脈手がかりのうちの、関係を支配するもの)と、この関係に基づいてどの機能が選択されるかを支配する文脈手がかり(Cfunc、可能性として起こり得る刺激機能の中から実際にどれが変換されるかを支配するもの)である。それらはいずれも機能クラスであり、ある任意の要素がいつも必ずどちらかに指定されると言うことはできない。それを決めるためには、機能分析がいつもそうであるように、そのプロセスや出来事を分析する必要がある。【翻訳書118〜121頁】
これらの引用部分にあるように、RFTにおいて言及される「機能」は文脈がもつ2つの側面と切り離すことができない。このことは反応を機能的に定義するという般化オペラントの本質にもかかわってくる点に留意する必要がある。

次回に続く。