【思ったこと】 161107(月)関係反応についての講義メモ(2)複合刺激との区別(続き)
昨日の日記で、関係反応の代表例として、相対的関係自体を手がかり(弁別刺激)とした具体例として、
- 2つのうち、より大きいものを選ぶ
- 2つのうち、先に出現したほうを選ぶ
- 当該の目印より左側にあるものを選ぶ
を挙げた。ここでは、いずれかを選んだ場合に正解(=好子出現により強化)となり、もう一方を選んだ場合には不正解になる(無強化)という結果が伴う実験場面であること、また選択肢の数は2つの場合として話を進める。
上記の実験で重要な点は、
- 個々の刺激には正解の手がかりとなる特性は含まれていない。
- 2つの刺激の組合せは無限であっても構わない。
- 個々のペアに対して特定の「関係」が対応づけられている。
といった点にある。
例えば、正の整数値の書かれた2枚のカードが提示され、より大きい数を選べば正解となったとしよう。
- 上記1.に関しては、例えば「21」と「23」が提示された時は「23」を選べば正解となる。しかし「23」と「25」が提示された時には「23」は不正解となる。要するに「23」だけを見ても、それが正解か不正解かは全く分からない。もう1枚のカードとの相対比較によって初めて正解を導くことができるのである。(厳密に言えば、提示される数が有限個であれば、最小値を選ぶと常に不正解、最大値を選ぶと常に正解となるので、これら2数値に限っては、1枚のカードだけに正解・不正解の手がかりが含まれていると言えるが。)
- 上記2.に関しては、整数値は無限にあるので、組合せは無限に考えられる。(厳密に言えば、カードに書き込むことのできる数字の数は限られているが。)
- 上記2.に述べたように2つの刺激の組合せは無限にあるが、ここではいずれも「より大きい」という1種類の比較に対応づけられている。
なお、上記では選択肢の数を2つに限定したが、例えば「3つの数から最も大きいものを選べ」、「液晶パネルに5種類の図形が順番に提示される。提示された順に図形をタッチせよ」なども関係反応と言える。
いずれにせよ「関係反応」というのは本来、こういう性質を持った反応のことを意味すると考えられるが、関係フレーム理論では、むしろ、特定刺激と別の刺激との対応づけに目が向けられることが多い。私自身は、相対比較と対応づけは別々に理論化したほうがよいという考えを持っている。
次回に続く。
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