じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 161111(金)関係反応についての講義メモ(6)実験による検証方法、あるいは類似した日常場面(4)刺激等価性(2) 昨日の日記で、こちらから 刺激等価性をテストするためには、前提となる刺激間関係を獲得させる必要があり、典型的には条件性弁別 conditional discrimination手続きが用いられる。条件性弁別とは、例えば3つの刺激A、B、Cを使った場合、見本刺激(A)に対して提示された比較刺激(選択刺激)の中から特定の刺激(B)を選択させる手続きを指し、これを通して「AならばB」の関係が構築される。これに加えて、Bを見本刺激として比較刺激Cを選択させ、もうひとつの条件性弁別「BならばC」を訓練する。それぞれを見本刺激・比較刺激として6種類の条件性弁別が可能であるが、ここではその中の2つが訓練されたことになる。残りの4つの関係は、刺激等価性の成立を示す決定的なテストとして、訓練せずに残しておく。という部分を引用させていただいた。このことと、反射性(reflexivity)、対称性(symmetry)、推移性(transitivity)、等価性(equivalence)との関係について、もう少し詳しく検討してみることにしよう。 ここでは、これまでと同様、「猫の写真(漢字の「猫」で代用する)」、「ネコ」と書かれたカード、「cat」と書かれたカードを例として挙げておく。但し、実際の実験では、これらの刺激は日常生活場面で繰り返し使用され関係学習がなされている可能性が高いため、刺激素材としては適さない。実際には、幾何学模様や図形、無意味な綴りなどが使用されることになる。 以上を踏まえた上で、上掲の条件性弁別訓練にあてはめると、3つの刺激の組み合わせとしては、
引用箇所にあるように、Sidmanの実験では、上記のうち、1.と6.のみで訓練を行われた。すなわち1.は「AならばB」、6.は「BならばC」という関係(対応づけ)の訓練ということになる。 残りの提示条件はいずれもテストということになるが、このうち、
次に、
3番目に、
ということで9通りのうち、訓練時の2通りとテストの6通り、合計8通りが上記のように分類できた。残るは、
なお、前回を含めて、ここでは「AならばB」というのは、Aを含む集合の要素からBを含む集合の要素への「対応づけ」であると述べてきた。実際の実験場面ではまさに、1つの刺激と別の1つの刺激との対応づけが行われており、このように考えることは間違っていないはずである。しかし、一般的には、「AならばB」というのは集合の包含関係を意味しており区別が必要である。例えば、Aとして「8の倍数」、Bとして「4の倍数」、Cとして「2の倍数」が書かれたカードがあった場合、「AならばB」、「BならばC」は成り立つが、対称性や等価性は成り立たない。 次回に続く。 | tr>