じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 岡大構内では各所で紅葉が見頃となっているが(こちら参照)、敷地内を流れる座主川の川面にも紅葉が映ったり、多数の落ち葉が流れたりして、趣のある風景を眺めることができる。
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2016年11月17日(木)



【思ったこと】
161117(木)関係反応についての講義メモ(11)見本合わせは条件性弁別か?(1)

 11月6日から始めたこの連載で、見本合わせ課題の話題を取り上げてきた。行動分析学の概説書などでは、見本合わせは条件性同時弁別であると考えられているが、これに対して、佐藤方哉先生は、2001年5月にニューオーリンズこの考えは誤りであると主張された。

Sato, M. (2001). Matching-to-sample is not a conditional discrimination. Paper presented at the 27th Annual Convention of the Association for Behavior Analysis, New Orleans.

その時の草稿は拝見できていないが、その発表内容をまとめた論文が、

こちらに掲載されており、誰でも無料で閲覧することができる。

佐藤方哉 (2007). 見本合わせは条件性弁別であろうか?−概念分析−. 帝京大学心理学紀要, 11, 1-8.

 佐藤氏は、まず、幼児にネコの絵とイヌの絵を見せて反応を求めることに関して3種類の課題を例示している。
  1. ネコの絵が提示された時は右手を上げる。イヌの絵が提示された時は左手を上げる。
  2. ネコの絵が提示された時はパネルを押す。イヌの絵が提示された時はレバーを引く。
  3. ネコの絵が提示された時は青いパネルを押す。イヌの絵が提示された時は赤いパネルを押す。
なお上記は行動が強化される条件を示したものであり、それ以外の行動は強化されない。(例えば、ネコの絵が提示された時に左手を上げても強化されない。)

 これらは伝統的な行動分析学の課題構造の分析では、
  1. 単純継時弁別【Go/No-Go型見本合わせの複合】
  2. 単純継時弁別【Go/No-Go型見本合わせの複合】
  3. 条件性同時弁別【選択型の同時見本合わせ課題】
というように分類されるが(【 】は長谷川による補足)、佐藤氏は「これらの三つの課題はいずれもネコの絵とイヌの絵の弁別であって、その論理構造はすべて同一であるように思われる。」と指摘された。
ここでの三人の児童はいずれもネコおよびイヌをタクトする訓練を受けたとみることができる。Michael の用語を用いるならば(Michael, 1985)、第一と第二の児童はトポグラフィー準拠言語によりネコおよびイヌをタクトすることを教えられ、第三の児童は刺激選択準拠言語によりネコおよびイヌをタクトすることを教えられことになる。タクトは、いうまでもなく条件性弁別オペラントではなく単純弁別オペラントであるから、複数のタクトとみることのできる恣意的見本合わせは、条件性弁別ではなく複数の単純弁別とみなさなければならない。【3〜4頁】
というのがその理由である。

 次回に続く。