【思ったこと】170301(水)オドノヒュー&ファーガソン『スキナーの心理学』(14)第3章スキナーの背景(8)ワトソン(1)
昨日の続き。
第3章では、ソーンダイクに続いて、ジョン・ワトソンが取り上げられていた。ワトソンは、心理学を学べば必ず登場する著名は心理学者であるが、評判はあまりよくない。一般に知られている特徴としては、
- 行動主義の創始者
- S-R理論重視
- 「健康な1ダースの乳児と、育てる事のできる適切な環境さえととのえば、才能、好み、適正、先祖、民族など遺伝的といわれるものとは関係なしに、医者、芸術家から、どろぼう、乞食まで様々な人間に育て上げることができる」
- アルバート坊やへの恐怖条件づけ
- アメリカ心理学会会長に就任するも、43歳前後に転身(広告代理店)。
行動主義者ワトソンの貢献は大きいが、戦後の行動主義心理学はもっぱら、ワトソンのどの部分を批判、改訂するかという形で発展してきた。本書でも、スキナーがワトソンの主張のどの部分を批判したのかが要約されている。【長谷川による改変】
- ワトソンは、学習の役割を本来の特性以上に大げさに主張した。
- ワトソンは、ほんのわずかな心理学の原理であまりにも多くを説明しようとした。
- ワトソンは、先行刺激で反射的に生ずるとは限らない自発性の行動を無視した。ワトソンはまさに刺激一反応主義だが、スキナーはそうではない。
- ワトソンは、ヒトにはほとんど、あるいは、まったく消去の特性を持たないと考えていたフシがあるが、ヒトにも消去は存在する。
- ワトソンは、方法論的行動主義(methodological behaviorism) であり、徹底的行動主義とは異なるる。
もっとも、認知心理学者の中には、スキナーの原著を1つも読まず、ワトソンとスキナーを区別できずに、孫引きだけで批判している人たちがいる。そうした無知、誤解、曲解が心理学の概説書にまであらわれ、教養教育などでまかり通っているのは、まことに憂慮すべき、嘆かわしい事態と言える。
次回に続く。
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