じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



03月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る


 3月2日の岡山は最低気温2.8℃、最高気温13.9℃で比較的暖かい1日となった。時計台前の芝地ではオオイヌノフグリがたくさん花を開いていた。迷惑雑草ではあるが、この時期の開花は春の訪れを実感させてくれる。

2017年3月2日(木)



【思ったこと】170302(木)オドノヒュー&ファーガソン『スキナーの心理学』(15)第3章スキナーの背景(9)ワトソン(2)

 昨日の続き。

 第3章のワトソンに関する記述の後半では、ワトソンがスキナーに与えた影響が語られている。まずは、一見して想像するほど大きなものではないとされている。むしろ、ワトソンの方法論的行動主義との違いを明確にすることがスキナーの徹底的行動主義を特徴づけるにあたって有用であると捉えるべきであろう。

 本書で挙げられている影響を箇条書きにすると以下のようになる【長谷川による改変、要約】。
  1. 人々が抱える問題の解決に、行動という概念や条件づけ手続きを関連づける形で研究を進める姿勢。
  2. 動物実験の有用性。
  3. 科学としての心理学の目的を行動の予測と統制とした点。
  4. パブロフが明らかにした、法則に関与する重要変数を1つ1つ扱うことの重要性。
  5. 学習は単一過程ではなく、いくつもの種類の学習が存在し、学習にはいくつもの現象(消去や般化)が存在すること。
  6. すべての哺乳類動物に同一の学習の原理が当てはまる。
 このうち1.は、応用行動分析学への発展につながっている。基礎研究と応用研究がここまで一体化して進められている領域は、他の心理学では見られないといっても過言ではあるまい。
 2.については、「予測と統制」を「予測と影響」に言い換える動きもある。統制を最終目的ではなく、統制不可能な部分を受け入れた上で、実現可能な部分に影響を与える必要もある。
 5.については、基本随伴性に基づく行動の変容は、人間を含め、哺乳類のほか、鳥類や魚類でも見られる。但し、言語行動、関係フレーム理論の言葉を借りれば「派生的な関係学習」、「恣意的に適用可能な関係学習」ということについては、人間オリジナルの学習プロセスとしてその影響を考慮する必要がありそう。

 次回に続く。