じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 同じ鉢に植えっぱなしのムサシアブミとソメイヨシノのコラボ。2017年は結局、青空のもとで撮影することができなかった。泥人形のカップルのほうは、今年はとうとう顔の部分が剥げ落ちてしまった。人形も歳をとる? なお、来年春は定年退職となるため、コラボ写真は今季が最後となる。泥人形はどこかの花壇の隅に埋めて、土に帰っていただくことにしたい。

2017年4月11日(火)



【思ったこと】170411(火)関係フレーム理論をめぐる議論(8)時間的近接がもたらすもの(1)

 4月10日の日記で取り上げたビールの例にも当てはまるが、刺激と刺激、あるいは刺激と反応が時間的に近接して生じた場合にどういう行動変容が起こるのか、そのことに派生的関係反応がどう関与してくるのか、もう一度整理しておく必要がありそうだ。

 なお、念のためお断りしておくが、「刺激と刺激、あるいは刺激と反応が時間的に近接して生じる」というのは、単に、そのように生じているというだけで、S-SとかS-Rといった「連合」を想定するものではない。

 刺激Aのあとに刺激Xが出現するということは、自然界では単に、まずAが出現し、その直後にXが出現したというただそれだけのことにすぎない。しかし、それを観測した人間や動物は、「A→X」という時間順序に基づく特別の反応を出現させるようになる。それらの反応は適応上有利な結果をもたらす。例えば、Aが草むらのザワザワ音で、Xが猛獣の出現であったとすると、Aの音を聞いた瞬間に逃げ出すことで猛獣から身を守ることができる。時間関係に依拠したさまざまな行動変容は、レスポンデント条件づけやオペラント条件づけの基本となっている。

 見本合わせ手続、さらには日常の言語行動では、時間的近接関係を利用しして、「AならばX」や「AとXは同じ」といったコミュニケーションをとる。じっさい、全く異なる言語を使う人に対して、まず「A」を示し、続いて「X」を示すことで、「A(の名前)はX」、「AならばX」、「AとXは同一」といったコミュニケーションが可能となる。

 日本語の場合でも、「これ、食べ物」、「あなた、美人」、「わたし、医者」というように、名詞を時間的に近接して並べるだけで、「AはB」を伝えることができる。かつてロシア語を習ったことがあるが、ロシア語ではbe動詞の現在形は普通は使われない。例えば、「онオン(彼)」と「 студентストゥデント(学生)」を時間的に接近させて、「Он студент.」と言えば、「彼は学生だ」という意味になる。(←40年以上前に習ったことなので不確か)

 なお、時間的近接関係は暗黙のうちに空間的近接関係を前提としている。同じ場所で継起することが重要なのであって、目の前と地球の裏側で同時刻に何かが起こったとしても通常は関係反応は生じない。

次回に続く。