じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 いま見頃となっているキンギョソウには様々な色があるが【楽天版(5/17付)に写真あり】、私のお気に入りは、写真の通りの色である。この色は滅多に出現せず、この株から採種した種を蒔いても同じ色がでるとは限らない。

2017年5月23日(火)



【思ったこと】
170523(火)ボーム『行動主義を理解する』(13)公的事象・私的事象・自然事象・架空事象(4)

 昨日に続いて、

ボーム(著)森山哲美(訳)(2016).『行動主義を理解する―行動・文化・進化―』 二瓶社.

の話題。

 心理主義に対しては、もう1つ、「余計(superfluity)」という点からの批判が詳しく述べられている。すでに述べたように「余計」は「冗長」と殆ど同じ意味で使われている。

 心理主義は「心理主義の説明は、行動から架空のものをどんどん推測する。そして、その推測されたものが行動の原因であると主張する。」という点で、冗長な概念をもたらす。私の授業でもたびたび言及しているが、例えば「○○したのは、○○という欲求があるからだ」という説明虚構は、どんな行動に対しても使える。「喧嘩したのは、闘争欲求があるからだ」、「勉強するのは、知を探究する欲求があるからだ」などといい、また、行動しない場合は単に欲求が無かったと言えば済んでしまう。同じような虚構は「○○したのは、○○という本能があるからだ」にもあてはまる。「パチンコ依存になるのは、ギャンブル志向の本能があるからだ」といい、「子育てを放棄したのは母性(父性)本能が欠如しているためだ」などという。これらはいずれも、同義反復的な言い換えに過ぎず、現象の予測や影響には何の力も発揮しない。

 心理主義に限らず、さまざまな構成概念の発明も、モデル改訂の繰り返しという徒労に終わってしまう恐れがある。といっても、質問調査中心の研究では、このやり方が主流となっており、記述の節約という点では一定の成果をもたらしているようにも思える。

 心理主義への異論は結局のところ、二元論への反論と軌を一にするようだ。
二元論では、物質的な存在と非物質的な存在の2種類の存在が、あるいは、物質について言及する用語と、非物質について言及する用語の2種類の用語が、行動を完全に理解するには必要であると考える。行動分析学だけでなく、すべての科学は二元論を拒絶する。二元論はわかりにくく、かつ非節約的であるからである。....ルネ・デカルト(1596-1650)の著作は、心理学における二元論を確立する上で影響力があった。デカルトは、数学や哲学に素晴らしい多大な貢献をしたが、行動に対する彼の見方は、あらゆる科学的なアプローチへの妨げとなった。【翻訳書57頁。長谷川による要約・改変】


 次回に続く。