じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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5月24日、岡山では久しぶりに雨が降った。気象庁統計によると、0.5ミリ以上の降水量を記録したのは5月13日以来となる。雨は25日朝も降り続いており、25日朝06時時点では合計13.0ミリに達している。 |
【思ったこと】 170524(水)ボーム『行動主義を理解する』(14)公的事象・私的事象・自然事象・架空事象(5) 昨日に続いて、 ボーム(著)森山哲美(訳)(2016).『行動主義を理解する―行動・文化・進化―』 二瓶社. の話題。 翻訳書55頁からは、「余計:架空の説明は節約的でない」に関連して、かつて議論された
次に取り上げられているのは哲学者ギルバート・ライル(1900-76)による論考であった。この考え方は、そのあとで取り上げられる巨視的行動主義に深く関係している。【長谷川による要約・改変】 ライルもまた、心理主義を攻撃したが、彼のアプローチはスキナーのそれとは異なった。スキナーは、心(mind)、知性(intelligence)、理性(reason)、信念(belief)といった用語を行動分析学から排除することを提唱したが、ライルは、それらの用語は、非論理的に使わなければ、有用となり得ると考えた。「非論理的な使われ方」として挙げられたのが、範疇誤認である。これは、「想定されている事例が属すことのできないカテゴリーに、その事例を誤って当てはめるような誤認」として定義されている。例えば、フルーツの事例としてニンジンを挙げることは、フルーツというカテゴリーにニンジンが属していないことからみて範疇誤認である。 これとは別に、フルーツの事例として「野菜」を挙げるというエラーもある。「野菜」というのは、下位分類ではなく、フルーツと同レベルの別のカテゴリーである。さらに、フルーツの事例として「フルーツ」を挙げることも同様。フルーツの事例として「果物」と答えるエラーを考えればもっと分かりやすいかもしれない。 この種のエラーは人間行動でも起こりうる。本書では、知的行動の事例として「知性」を挙げるエラーが取り上げられていた。「知性」は、知的行動の事例としてあげられる行動(計算行動、創造行動など)と同列ではない。要するに「知性」は「知的行動」と同じカテゴリーレベルであって、活動の根底にある能力の源のようなものではない。 心理主義は、重要な事柄から私たちの目をそらさせるだけでなく、役に立たないという実用上の問題があるということをスキナーは強調した。それに対しライルは、心理主義の論理的な問題を強調した。Whereas Skinner emphasized the practical problems with mentalism ― that it is distracting and useless ― Ryle emphasized the logical problems with it. 次回に続く。 |