じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 170827(日)ボーム『行動主義を理解する』(64)言語行動と言葉(1) 8月20日に続いて、 ボーム(著)森山哲美(訳)(2016).『行動主義を理解する―行動・文化・進化―』 二瓶社. の話題。今回から第7章に入る。章の冒頭では、
Verbal behavior, according to RFT, is to put stimuli (events) in relation and to act on or react to stimuli based on the resulting relations. 【原書88頁】/ 言語行動とは,刺激(出来事)を関係の中に置き、結果としで生じる関係に基づいて,刺激に対してアクションし,あるいはリアクションすることである。【翻訳書123頁】とはかなり異なる立場をとっていると言えよう。 本書(ボームの本)のほうでは、言語行動は、「コミュニケーション」と呼ぶことのできる行動カテゴリーに属するオペラント行動であるとされている。但し、コミュニケーションは心理主義的視点と混同される恐れがあり、別の用語が必要であるとも述べられている。 そもそも、コミュニケーションとは何かということになるが、本書では 有機体が他の有機体の行動に影響を及ぼすような刺激を発生させるとき、「コミュニケーション」が起こったと言うのである。コミュニケーションというと、発信者の情報が符号化され、受信者がそれを解読するプロセスがあるように思われるが、ここでは他の個体の行動に影響を及ぼせばコミュニケーションになる。 もっとも上記の定義だけであると、スカンクが臭いニオイを出して外敵から逃れるのも、イカが墨を出して逃げるのもコミュニケーションになる。さらに言えば、相手を攻撃することもコミュニケーションに含まれてしまう。 本書では、この点について、攻撃のような行動はコミュニケーションではあるが言語行動の例にはならないとしている。言語行動はあくまでオペラント行動であり、行動の結果に依存するが、コミュニケーションと呼ばれる行動の中には、それ以外、例えば、先行刺激のみに依存するレスポンデント行動も含まれている。例えば鳥が警戒音を発するのはレスポンデント行動であり、警戒音を発したことで他個体が逃げたか、それを無視したのかといった結果によって行動が変わることはない。スカンクのニオイもイカの墨も同様であり、その起こり方は先行条件だけに依存している。 次回に続く。 |