じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 京都府立植物園で見かけた、高齢者向け無料入園の案内。もともとは60歳以上無料だったところが、70歳以上無料に変更されたとのこと。確かに、「70歳以上」の部分は紙を貼り付けて訂正されている。健康寿命延伸の観点から言えば、できるだけ早い年齢から無料化にして、高齢者の園内ウォーキングや自然観察行動の機会を増やしていくことのほうが、入園料徴収で利益を上げることよりも行政としてプラスにはたらくように思う。なお、こちらの案内によると、府立の施設によっては、60歳以上無料や65歳以上無料というところもあり、マチマチになっている。同じ自治体の施設であるにもかかわらず、方針が一貫していないのは妙なことだ。

2018年3月18日(日)


【思ったこと】
180318(日)第23回人間行動分析研究会(6)徹底的行動主義とは何だったのか?(2)

 3月16日の続き。

 
 『行動分析学事典』の執筆項目「徹底的行動主義」では、まず、「radical behaviorism」の由来について、

Schneider, S. M., and Morris, E. K. (1987)."A History of the Term Radical Behaviorism: From Watson to Skinner" . The Behavior Analyst, 10, 27-39.

を引用しながら、かつてはWatsonの行動主義に関せられていた「radical」がいつ頃からSkinnerの行動主義を特徴づける言葉に転じたのかについて簡単に紹介した。また日本で「radical=徹底的」という訳語が使われたのは、公刊論文としては浅野(1975)の『心理学評論』誌が最初であり、概説書では、おそらく、佐藤(1983)の『現代基礎心理学6』が最初であろうと述べた。

浅野俊夫(1975).ニホンザルの実験的行動分析における理論的展開. 心理学評論, 18, 181-197.
佐藤方哉 (1983). 序論 学習研究の展開.【八木冕(監) 佐藤方哉(編) 現代基礎心理学 第6巻 学習U. 東京大学出版会, pp.1-12.】

 次に、『徹底的行動主義』の特徴としてほぼ共通理解が得られているのは、
  • 機能主義:刺激や反応は機能的に定義
  • 実用主義:プラグマティズムに基づく真理基準
  • 帰納主義:ベーコンに由来。内的構成概念からなるモデルづくりや、仮説演繹ではない。
という3点であろうと述べた。

 スキナー以後の徹底的行動主義の発展で注目されるのは、1つは「関係フレーム理論と機能的文脈主義」である。これに関しては以下の論文・書籍を引用した。
  1. Hayes, S. C., Barnes-Holmes, D., & Roche, B. (Eds.). (2001). Relational Frame Theory: A Post-Skinnerian account of human language and cognition. New York: Kluwer Academic.
  2. 武藤崇 (2001).行動分析学と「質的分析」(現状の課題). 立命館人間科学研究,2, 33-42.
  3. Gross, A.C.,& Fox, E.J.(2009). Relational frame theory: an overview of the controversy. The Analysis of Verbal Behavior, 25, 87-98.
  4. Dymond, S., & Roche, B. (Eds.)(2013). Advances in relational frame theory: Research and application. Oakland, CA: New Harbinger.
 もう1つは、「巨視的行動主義」や「目的論的行動主義」の視点である。
  1. Baum, W. M. (2002). From molecular to molar: A paradigm shift in behavior analysis. Journal of the Experimental Analysis of Behavior, 78, 95-116.
  2. 中島定彦(2005 ).行動理論における「近見”molecular”」と「遠見“molar”」. 動物心理学研究,55,33-40.
  3. 長谷川芳典(2011).徹底的行動主義の再構成―行動随伴性概念の拡張とその限界を探る―. 岡山大学文学部紀要, 55, 1-15.
  4. 丹野・坂上 (2011). 行動分析学行動分析学における微視-巨視論争の整理―強化の原理、分析レベル、行動主義への分類― . 行動分析学研究, 25, 109-126.
  5. Baum, W. M. (2013). What counts as behavior? The molar multiscale view. The Behavior Analyst, 36, 283-293.
  6. Rachlin, H. (2013). About teleological behaviorism. The Behavior Analyst, 36, 209-222.
  7. Baum, W. M. (2017). Understanding behaviorism: Behavior, culture, and evolution (Third Edition). Malden, MA:Blackwell Publishing.U.K.【第2版の訳書:ボーム(著)森山哲美(訳)(2016).行動主義を理解する―行動・文化・進化―. 二瓶社. 】
  8. Rachlin, H. (2018). Is talking to yourself thinking? Journal of the Experimental Analysis of Behavior, 109, 48-55.


 次回に続く。