じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 定年退職前の整理作業をしていたところ、図書館新館屋上から文学部方面を撮影した写真が見つかった。同じネガにヘール・ボップ彗星の写真が写っていること、自転車の迷惑駐輪が多いこと、新緑の時期であることから1997年4月に撮影されたものであると推測される。
 図書館新館が竣工してから一定期間、屋上に自由に出入りできる時期があったが、その後、ドアが施錠されて、特別公開が無い限りはのぼることができなくなった。
 写真には、時計台前の丸い池、二部校友会BOX(当時は、学友会BOX)、耐震改修工事前の文法経1号館などが写っている。本部棟や南福利施設(ピーチユニオン)はまだ建てられていない。また写真右にあるように、当時は、自転車の迷惑駐輪が深刻になっていた。迷惑駐輪は、その後、誘導員の配置により完璧に解決した。

2018年3月25日(日)


【思ったこと】
180325(日)第23回人間行動分析研究会(12)徹底的行動主義とは何だったのか?(8)巨視的行動主義(1)

 3月23日の続き。

 「文脈」に続いて、「巨視的行動主義」の話題を取り上げさせていただいた。但し時間が限られているため、今回は論点の紹介程度にとどめさせていただいた。

 まずは、巨視的行動主義の推進者、Baumの主張を引用した。
  • 行動の定義は、行動分析学の発展とともに変わっていく。
  • 行動には4つの特徴がある。
    1. only whole organisms behave
    2. behavior is purposive
    3. behavior takes time
    4. behavior is choice
  • 【スキナーの評価】刺激や反応は個別の事象ではなくクラスである。それらは「どのように見えるのかではなく、どう働いているのか」というように機能的に定義されなければならない。
  • 【スキナーの評価】刺激は反応率をコントロールする。いわゆるS−R理論のような「刺激と反応の一対一関係」ではなくて、より巨視的な観点から行動を捉えられる可能性を広げた。
  • 強化スケジュールによる分析はすでに巨視的と言える

 強化の随伴性が1回ごとの「直前条件→行動→結果」ばかりではないという点については、

長谷川(2011)徹底的行動主義の再構成―行動随伴性概念の拡張とその限界を探る―

でも「スパイラル型の随伴性」や「随伴性の入れ子構造」といった観点から論じたことがある。

 巨視的行動主義と(巨視的視点から捉えた)微視的行動主義について論じた丹野・坂上(2011)では、以下のように論点を整理している。「vs」の前者は微視的行動主義、後者は巨視的行動主義。
  1. 科学のモデル:物理学 vs 進化論
  2. 根本の哲学:機械論 vs プラグマティズム
  3. 分析レベル:微視的 vs 分析者の目的に依存
  4. 行動の説明の仕方:動力因 vs 目的因
  5. 内的変数の組み込み:不可避 vs 排除も可能

 上記のうち、「行動の説明の仕方」のところで、動力因と目的因という分類があるが、これらはアリストテレスの四原因説に由来するものと思われる。但し、巨視的行動主義は必ずしも「○○という目的があるから××という行動をする」という説明に依拠しているわけではない。個々の行動は一定の方向性とまとまりをもっており、それらを包括的にラベル付けすることが結果として目的について述べたことになるという見方もある。
 もう1つ、「内的変数の組み込み」のところで、「巨視的行動主義は排除も可能」とまとめられていたが、後述するようにBaumは、私的事象を説明因に加えることを徹底的に排除しようとしている。しかし、微視的か巨視的かという分類だけから言えば、関係フレーム理論も巨視的行動主義の1つであり、こちらのほうは私的事象は排除していない。

次回に続く。