Copyright(C)長谷川芳典 |
日本語の「AはBだ」を「Ais B」のように訳すととんでもない英語になってしまうという例。↓の記事参照。 |
【連載】 日本語と英語の違いをめぐる議論(10)「AはBだ」は「Ais B」ではない チベット旅行などで間があいてしまったが、9月25日に続いて、日本語と英語をめぐる話題。 11月19日(月)朝、NHK・Eテレの「エイエイGO!(土曜日放送の再放送。番組自体は2016年度の再放送)で、日本語の「AはBだ(AはBです)」を「Ais B」という形に直訳するととんでもない英語になってしまうという話題を取り上げていた。 上掲の画像にあるように、例として挙げられたのは、
これらの「AはBだ」という日本語文は、いわゆるウナギ文「ボクはウナギだ」とかコンニャク文「コンニャクは太らない」などと同じで、「〜は」の役割を特徴的に表す例となっている。すなわち、「〜は」は、主語ではなく、主題を提示する役割を果たしており、これにより文脈が明確化されている。 いっぽう、「する」言語である英語では、質問に対する解答は常に「誰が何をするか」という形で表現しなければならない。上記の3例に当てはめれば、「私はスパゲッティを注文する」、「父は京都に住んでいる」、「私は買い物する」が、それぞれの質問に対する「○○は××をする」という答えになる。 番組での以上の説明はほぼ納得できる内容であったが、日本語文で「主語が省略されている」というような説明をしていたのは少々納得できないところがあった。「主語が省略」という発想は、「あらゆる言語には主語が必要だ」という固定観念に囚われているためである。金谷武洋先生がたびたび指摘しておられるように、日本語には主語はいらないという見方もあり、耳を傾ける必要があるだろう。 ところで、番組の設定にはいくつかツッコミを入れたくなる部分があった。まず、「英語でどう答えるか?」というのは、英語での質問に対してどう答えるという文脈でなければ不自然になる。例えば、「父の住んでいる場所を聞かれて」という場面設定では「Where does your father live?」というように質問されるであろうから、その形に合わせて「He lives in 〜.」と答えればよいのであって、「A is B」型の答えが頭に浮かぶ余地は無さそうに思う。 次に、上掲の「AはBだ(です)」という日本語文の妥当性についてツッコミをいれてみよう。
|