Copyright(C)長谷川芳典 |
昼前、生協食堂でサンマの塩焼きを食べようとしたが、突然、このサンマが生きているように見えて、箸をつけるのを躊躇した。同じ対象を食べ物という文脈で見るか、生き物の遺体という文脈で見るかによって異なる反応が出てくるようだ。 なお、躊躇したのは一瞬でありそのあとはごく普通に口に入れたが、見慣れているものがいつもと違うように感じるというのは、もしかすると認知症の始まりかもしれない |
【連載】 関係反応と関係フレームをどう説明するか(39)「関係フレーム」とは何か?(27) いろいろな関係フレーム(22)Hierarchical Relations(1) 少し間が空いてしまったが、2月8日に続いて関係フレームの話題。なお、2月4日をもって本年度の授業は終了。来年度は12月からの開講予定となるので、この連載はもう少しペースを落としてじっくりと考えていきたいと思っている。 さて、パープルブックでは、Comparisonに続いて「階層(Hierarchical Relations)」(37頁)が取り上げられていた。 この階層フレームというのは単なる包含関係とは異なり、何らかの属性を問題にしているようである。すなわち「AにはBという属性がある」もしくは「AはBのメンバーである」という形で記述される。具体例としては「リンゴ(A)は丸い(B)」、「バナナ(A)は果物(B)」であるが挙げられていた。 階層フレームと比較フレームの違いは、複合的相互的内包の派生のしかたに現れるようである。「ボブはデーブとバーブの父親だ」(「ボブはデーブの父親だ」&「ボブはバーブの父親だ」)と言われた場合、「デーブとバーブはきょうだいである」が派生されるがこれが階層フレーム。いっぽう「ボブはデーブとバーブのどちらよりも背が高い」と言われても、デーブとバーブの間での身長比較はできないがこのタイプが比較フレームであるというのである。 上記で、「デーブとバーブはきょうだいである」というのは「きょうだい」の定義ではないかという気もするが、とにかく、「父親である」とか「親子である」という関係が、「きょうだい」というような何らかの別の関係反応を派生することは確かであろう。 「リンゴ(A)は果物(B)だ」と「リンゴ(A)は甘い(C)」というのも同様であり、「果物の中には甘い物がある」というBとCの関係を派生させる(=階層フレーム)。いっぽう「リンゴはバナナより甘い」、「リンゴはプルーンより甘い」からは、バナナとプルーンのどちらが甘いのかを比較することはできないが、これが比較フレームということになる。 要するに、比較フレームというのは何らかの比較軸のもとで量的比較を行う場合のフレームであるが、階層フレームの場合には何らかの属性についての関係反応が派生されるというように理解できる。 不定期ながら次回に続く。 |