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チコちゃんに叱られる!「なんで2月は28日しかない?」で説明されていたローマ暦の変遷。↓の記事参照。 |
【小さな話題】 チコちゃんに叱られる!「なんで2月は28日しかない?」 2月15日に放送された「チコちゃんに叱られる!」の話題。今回はその中の、 ●なんで2月は28日しかない? について考えてみたいと思う。この疑問の解答は「1年の始まりが3月1日だったから」とされていたが、これは少々わかりにくい表現であると思う。1年を月に分けて番号をふるなら、どの季節を元日に定めても最初は1月と呼ぶべきであるからだ。ということで、ここでは、月の名前は誤解を避けるために英語で呼ぶことにする。すなわち、この疑問の解答は ●1年の始まりの月がMarchだったから ということになる。 ウィキペディアのロムルス暦の説明にあるように、最初期のローマ暦は紀元前750年前後に採用されており、ロムルス暦と呼ばれている。農耕暦であったため、畑仕事の無い季節(約61日)には月は置かれていなかった。月の名前は、Martius(マルティウス)、Aprilis(アプリーリス)、...というように軍神マルスから始まって4番目の月までは神に由来した月の名前が冠せられ、5番目から10番目はラテン語の数詞5-10(quinque, sex, septem, octo, novem, decem)に由来する名前となっていた【以上、Web表記上、一部の文字はアルファベットで代用】。今回の番組では毎月の日数は縁起の悪い偶数を避けて、29日または31日が割り当てられていたと説明されていたが、ロムルス暦の時点では30日と31日から構成されていたようである。 その後、紀元前713年、ローマ国王ヌマ・ポンピリウスによって改暦が行われた。この改暦の特徴は、
その後、紀元前153年1月1日の改暦で、 年の始まりがMartiusではなく、Januiriusに移った。このとき、月の順序と月名との間にずれが生じた。番組によれば、Januiriusを年の始めにしたのは、もともと「ローマ人に限らず古代の人たちは寒い季節は働かないし戦争もしない」習慣であったところ、近隣に先駆けて戦争を始めるために2つの月をMartiusの前に持ってきたためであるようだ。 その後、紀元前45年、閏月による調整を止めて1年を365日とする年と4年に一度366日とする年を設けたのがユリウス暦である。なお、そのさい、31日の大の月を減らして2月を30日とすることはできたはずであるが、番組によれば、当時のローマでは「3月1日から遡って7番目の日の2月23日を、ローマの守護神テルミヌスの功績を称えるテルミナリアの日」としていたためそれを尊重して2月は28日(または29日)のままにしたという話であった。【←閏年には2月が29日となるので、テルミナリアの日は8日前になってしまうが、なぜ問題視されなかったのかは不明】 以上、今回の番組をきっかけにいくつかのコンテンツを閲覧してみたが、私自身が誤解していたのは、7から10を表す「septem, octo, novem, decem」がなぜ2カ月ずれて9月から12月になったという点であった。確か小学校か中学校の頃、このズレはユリウス・カエサル(シーザー)とアウグストゥスが自分の名前を冠した月を6月と7月の間に割り込ませたためだと習ったような記憶があるが、上記の通り、2カ月のズレは、JanuiriusとFebruariusという2つの月を年初に移したことによるものであり、今のJuly、Augustというのは、もともと5番目と6番目の月の名前であったQuintilis(クィーンティーリス)とSextilis(セクスティーリス)をそれぞれ改称しただけにすぎないことが分かった。 なお、Augustが31日となった理由であるが、サクロボスコの説では「アウグストゥスが、自分の名をつけた8月がユリウス・カエサルの名にちなんだ7月よりも日数が少なくなることを嫌ったからだ」となっているが、現在では、サクロボスコの解釈は誤りとされるそうだ。【こちらの記事参照。】 ユリウス暦はその後グレゴリオ暦に修正されて現在の暦として使われ続けているが、『天文年鑑』ではユリウス日がしっかりと記載されている【こちらに計算サイトあり】。ちなみに、2月17日午前0時は、ユリウス日で2458531.50000となっている。修正ユリウス日というのもあるが、これは旧ソ連のスプートニクの軌道を追跡するために用いられたIBM 704コンピュータの記憶容量が小さく、桁数を少なくする必要があったためであるという【こちら参照】。 また、正確に365.25日を1年とする時間単位をユリウス年といい、例えば1光年というのは、真空中の光が1ユリウス年に進む距離であると定義されている。 以上、番組よりも、ウィキペディアに基づく情報ばかりになってしまったが、現行のグレゴリオ暦では天文学的には全く意味の無い日が1月1日になっていることは間違いない。もっとも、冬至とか春分の日を元日に定めたとすると、将来、地球の自転の変動によって、冬至や春分の瞬間が23時59分59秒のはずが翌日の0時0分1秒になったりした時に、観測結果に基づいて日付を変更しなければならないという混乱が生じる恐れがある。 また、以前、なぜ年度は4月始まり?という話題が取り上げられたことがあるが、現行の年度制度のもとでは、年度の終わりに近い2月に閏年の調整を行うことはそれなりにうまく回っているところがある。じっさい、日程のたてこんでいる3月末が28日であったり29日であったりすると、卒業式から入学式までの日にちが多い年と少ない年ができてしまって大変になりそう。 あと、私が小学生の頃、科学の本では世界暦というのが紹介されていた【世界暦では2月は30日まである】。いちばんのメリットは、毎年同じカレンダーが使えるということだが、欠点もいくつか指摘されている。一時は国連の理事会で提案されるまでに至ったが、1955年にアメリカの反対で議題が無期延期となり【←トランプばかりかと思っていたがこんなところでも反対するようだ】、その後は下火になっているという。ま、その年によって連休の日程が変わるということも、ある意味では変化として楽しめるところがある。 |