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【小さな話題】新元号決定雑感 各種報道にあるように、4月1日の午前11時半すぎ、新元号「令和」が菅官房長官より発表された。6つの原案の中から、有識者による「元号に関する懇談会」などの議を経て決定されたものであるという。 新元号の予想については、私自身も3月29日の日記で、「啓和」、「恭安」、「恭和」、「恵和」、「恵安」という5つの予想を立てたが、どれも当たらなかった。但し、新元号に「和」が含まれることは想定内であった。 新元号については、この発表直前まで、いろいろなメディアで予想がされていた。いつも視ている「日経モーニングプラス」では「広永」、「和尊」、「天輝」、また、官房長官発表の特番として放送時間が延長された「昼サテ」では解説者が「永好」を例示していたがどれも当たらなかった。このほか新元号に「はやぷさ2」プロジェクトチームが提案した「星暦(せいれき)」が採用されたという「誤報」も流れたが、これはエイプリルフール企画であった。 ちなみに、政府は原案の数も含めて公表していないが、「令和」のほか、「英弘(えいこう)」「広至(こうじ)」「万和(ばんな)」「万保(ばんほ)」の候補があったと報道されている[※]。 [※4月2日追記]4月2日正午のNHKニュースで、令和以外の候補は「英弘」、「久化」、「広至」、「万和」、「万保」であったこと、「令和」の考案者は国文学者・中西進氏の可能性が高いことが報じられた。オリンピック開催地などと同様、元号の決定までは極秘裏に進めるべきだと思うが、発表後は、候補や審査のプロセスなどを公開して透明性を高めたほうがよいのではないかと思われる。どうせバレてしまったことだし。 多くの人にとって意外であったのは「令」という文字が採用されたことである。官房長官の記者会見の中継では、官房長官が新元号を記した色紙を受け取るさい、伏せられた色紙の上部がちらっと見える瞬間があった。私にはその文字が「令」ではなく「今」のように見えたので、まさか「今上」ではあるまいなあと思ったが、それが「令」という文字であると知り、さらに意外さが増した。 私個人としては、「令」というのは「命令」や「県令」という熟語にあるように、上から伝えられるもの、あるいは上に立つ人といった印象がある。「令月」という言葉があることは全く知らなかった。 次にパソコンで「れいわ」と入力してみたが、ATOKで最初に表示された変換候補は一位が「例話」、二位が「零和」であり、当然、「令和」は表示されなかった。もっとも「令和」を何度か入力しているうちに「令和」が最初に表示されるようになった。 ちなみに、「零和」は「ぜろわ」が正しい読み方だが、「れいわ」という音声を聞いた時に私が最初に連想したのは「ゼロ和ゲーム」であった。 「令和」という文字構成に関しては「のりかず」「よしかず」と発音する名前の方がおられるようである。早くもネットでは話題になっており、翌日あたりからテレビでも全国各地の「令和」さんが登場されることと思う。もしその中で万葉集を出典として名づけられた人がいたとしたら凄いことだと思う。 元号についてはいろいろ批判的な意見もあるとは思うが、元号としてどういう名称を選ぶかということと、元号をどういう時に使わせるのかというのは別の問題である。 後者に関しては、種々の書類の年月日記入欄で元号を指定される場合もあるが、外国からの留学生や労働者にも配慮し、最低限、西暦でも記入できるような様式にしておくことが望ましい。 いっぽう前者に関しては、元号を前提とする限りは、そこで定められた元号決定のプロセスがしっかり守られたものであればそれを受け入れるのが当然であろうとは思う。なので、いったん決まった名称については、あれやこれや批判をしてもしようがない。 どこかの市町村が合併して新しい名称を決めるというのであれば住民投票という決定方法が無難であろうが、元号の名称選択の場合は、古典や漢字の用法に詳しい方の意見を尊重する必要があり、素朴な語感だけで国民投票を実施したからといって最適の案が選ばれるとは限らない。むしろ無用な対立をもたらすばかりであろう。 |