じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 楽天版(5/20付け)にも写真を掲載したように、岡大構内の芝地でチガヤが目立つようになった。リンク先にも、
【チガヤは】遷移の上では、多年生草本であるので、1年生草本の群落に侵入すると、次第に置き換わってやや安定した草原を形成する。日本では、やがてススキなどが侵入すると、背の高さで劣るため、チガヤは次第に姿を消し、ススキ草原やササの群落から松林へと遷移が進む。
と記されており、「花穂はチバナまたはツバナとも呼ばれ、古事記や万葉集にもその名が出ている」というが、そのいっぽう、
日本以外の地域においては、チガヤ草原がより広範囲、恒常的に存在する場所もある。特に、熱帯から亜熱帯にかけての雨季と乾季のはっきりした地域ではチガヤは非常によく繁殖し、「世界最強の雑草」という称号すらある。世界の侵略的外来種ワースト100 (IUCN, 2000) 選定種の一つである。
ともされている。
 岡大構内の芝地では、人手不足により草刈りの頻度が減っており、チガヤの繁殖はこれを反映したものと思われる。

2019年5月19日(日)




【連載】

遺伝子の最新研究と心理学の将来(6)DNAスイッチ

 昨日の続き。

 第2集では、「DNAスイッチ」の話題が取り上げられた。第1集ではDNAの98%にあたる部分の役割についての新たな発見が紹介されたが、第2集は、DNAの2%を占める遺伝子(設計図)自体についての研究の紹介であった。

 DNAスイッチは少なくとも遺伝子1つにつき1個、全体で2万個以上におよぶという。また最近の研究では、このスイッチが後天的に切り替わることがあることが分かってきたという。

 DNAスイッチは専門的には「エピジェネティクス(後成遺伝学)」と呼ばれており、「又吉直樹のヘウレーカ!」でも取り上げられたことがあった。ヘウレーカではオオツノコクヌストモドキの角の大きさが取り上げられた。記憶があいまいだが、確かオランウータンのフランジの有無もエピジェネティクスで説明されていたような気がする。

 今回取り上げられたのは人間におけるエピジェネティクスの話題であったが、その中身は「記憶力アップ」、「持久力アップ」、「音楽能力アップ」、「若返り」、「寿命を延ばす」、「がんを防ぐ」、「糖尿病を防ぐ」、「うつ病を防ぐ」など多種多様であった。

 番組で紹介されていた例は、「がんを抑える」というDNAスイッチの話であった。一卵性双生児の姉妹は全く同じDNAを持っているはずであるが、そのうちの一人が乳がんにかかった。これは、「がんを抑える」スイッチがオフになっているためであることが判明した。この例に限らず、がん患者の多くは、スイッチがオフになっているらしい。

 なお、DNAスイッチの中には「老化を進める」、「脂肪をためる」というようにオフになっていたほうが良いスイッチもあるという。

 いずれにせよ、体質や能力は、受け継いだ遺伝子(=設計図)で運命づけられるものではない。「食事や運動でDNAメチル化酵素の量などが変化しスイッチが切り替わる」ことがあるというのが、新しい発見であった。

 最先端のがん研究では、DNAメチル化酵素をコントロールして「がんを抑える」というDNAスイッチの働きを保つ薬が開発されているという。

 このように、DNAスイッチを人為的に切り替えることで多くの人々の命が救われる可能性があるが、悪用される危険も全く無いとは言えない。例えば、スポーツ選手はある種のスイッチをonにすることで競技能力を格段に高めることができるかもしれない。この場合、たゆまぬ練習の成果でonになるならともかく、何らかの薬を使ってonにすることまで認められるのかどうか、認められないとしてもそれを検査でチェックできるのかどうか、といった疑問が出てくる。このほか、ある種のスイッチをonにすることで音楽能力や記憶力がアップする反面、老化を進めるという副作用が出るケースがあるかもしれない。本人が「老化が進んでも音楽能力をアップしたい」と望んだ場合、それを認めてよいものかどうかという議論が起こるかもしれない。

 ちなみに、私自身は、いまさら能力を高めても年金が増えるわけでもない。健康寿命延伸に関わるスイッチがあれば、onかoffかは不明だが、とにかく切り替えたいとは思うが、そういう薬が開発された頃にはすでに「手遅れ」になっているものと予想される。

 次回に続く。