じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 半田山植物園でクマバチを目撃した。写真のように、クマバチは図体が大きいわりに羽根が小さい。クマバチと言えば、「航空力学的に、飛べるはずのない形なのに飛べている」という大きな謎がある。クイズとして出題されたら、どれを選ぶだろうか?
  • 【詩人的な解答】「彼らは、飛べると信じているから飛べるのだ」
  • 【発想豊かな解答】「ヘリウムガスをお腹に蓄え、飛行船のように浮かんでいる」
  • 【優等生的な解答】「レイノルズ数を考慮すると飛行は可能である」

2019年5月27日(月)



【連載】

チコちゃんに叱られる!「大阪の派手なおばちゃん」「世界で2番目に速い動物」「エラ呼吸」

 昨日に続いて、5月24日放送のNHK「チコちゃんに叱られる!」の話題。本日は、残りの3つの疑問について考察する。
  • なんで大阪のおばちゃんは派手なの?
     番組では、江戸時代、天保改革によって江戸の庶民が質素倹約な生活を強いられたのに対して、大阪では将軍様の命令に従わず、派手な服装をやめなかったことに由来するというように説明されていた。しかし、この連載でも何度か指摘しているように、
    • ある地域に特徴的な行動は、どういう起源があるのか?
    • ある地域で、いま現在、その行動が活発に行われているのはなぜか?
    という2つの問題は分けて考える必要があるように思う。もちろん、伝統的な文化や習慣の中には何百年も継承されることがあるが、おばちゃんの服装が派手かどうかということまで、江戸時代から続く文化と言えるのかどうかは疑わしいように思う。そもそも、大阪のおばちゃんの大部分は、他の地方から移り住んできた人たちの子孫であって、大阪商人の末裔ではない。

     そもそも、大阪のおばちゃんがアニマル柄を好むのかどうか、実際に観察したことが無いので何とも言えないが、みんながアニマル柄を着用するようになれば逆に目立たなくなる。必ずしも派手好みとは言えないように思う。

     ちなみに、チコちゃんの「大阪のおばちゃん」ネタとしては、2018年9月28日放送の、

    ●なぜ大阪のおばちゃんはあめに"ちゃん"をつける?

    というのがあった。大阪のおばちゃんは、カバンやポーチに飴を入れていて、知らない人同士でも飴のやり取りを通じて仲良くなるという話(但し、実際には飴を食べないので、大阪の飴の消費量は47都道府県中で44位)。今回の「なぜ派手か」や「アニマル柄」についての解説も、もう少し統計データを示せば信憑性が出てきたのではないかと思う。

  • 「世界で2番目に足が速い動物は?」
     私はダチョウではないかと思ったが、正解とされたのはプロングホーンという聞いたことの無い動物であった。最高時速は96km(チーターは110km)。私の推したダチョウは70km前後だという。
     なお、動物の速さについては諸説があり、ネットで検索したところ、こちらでは、
    • 第1位:チーター 120km
    • 第2位:スプリングボック 100km近く
    • 第3位:クォーターホース 88.5km
    • 第4位:プロングホーン 88km。長距離に強い。
    • 第5位:ヌー 80km
    • 同率第5位:ブラックバック 80km
    • 同率第5位:ライオン 80km。
    となっていて、プロングホーンは第4位になっていた。ま、一口に速さ比べといっても、短距離〜長距離では順位が異なる。チーターは短距離専門であると言われている。

     なお番組では、プロングホーンの足の速さはチーターから逃げる為に発達したものだという説が紹介された。その可能性は考えられるが、プロングホーンが速くなったというだけで北米のチーターが絶滅したと考えるのは単純すぎるように思う。チーターがプロングホーンだけを獲物にする必要はないだろう。

  • エラ呼吸ってなに?
     呼吸で私がよく分からないのは、肺胞と毛細血管の間にある薄い膜を酸素や二酸化炭素が移動するしくみである。番組では
    肺胞内の酸素の濃度は血液中の酸素の濃度よりも高いため、両方が同じ濃度になろうとして、酸素は肺胞側から血液側に取り込まれます。
    一方で体から排出されるべき二酸化炭素は、血液側から肺胞側へ出されます。
    という部分である。この現象はおそらく、浸透圧によるものであり、
    半透膜、すなわち溶媒(小さな分子)だけを透す膜で隔てられた2室に溶媒・溶質が同じで濃度の異なる2つの溶液があると、濃度の低い(溶質分子の密度が相対的に低い)溶液から濃度の高い(溶質分子の密度が相対的に高い)溶液に移動する溶媒分子の数は逆向きのものより多くなる。これは、低濃度溶液中の溶媒分子の方が、高濃度溶液中の溶媒分子よりも、溶媒自身の密度が高く、拡散の原理に従って、溶媒分子が[高]→[低]へと移動することによっている。結果として、溶媒は溶質濃度の高い溶液の方へ移動し、平衡状態に達するまで続く。
    と説明されているが、水圧や気圧の違いならともかく、特定の分子レベルでなぜ同じ濃度になろうとする力(?)が働くのかがよく分からない。より根本的には拡散の原理を理解する必要があるようだ。ウィキペディアでさらに検索したところ移動現象論とか、束一的性質など興味深い概念が芋づる式に出てきた。高校2年の時に受験科目として物理を学ぶことを放棄した私ではあるが、死ぬまでにはぜひとも勉強しておきたい分野である。