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時計台前のモミジバフウ(アメリカフウ)並木はほぼ落葉したが、1本だけ、まだたくさんの葉っぱをつけている木があり、岡大七不思議の1つとして注目されている(かも)。
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【連載】関係反応と #関係フレーム をどう説明するか(46)専門書、入門書で取り上げられている事例(3) 昨日の続き。 今回は、2009年に前に刊行された、 こころのりんしょうa・la・carte 第28巻1号〈特集〉ACT=ことばの力をスルリとかわす新次元の認知行動療法 という特集号には、ACTのほか、関係フレーム理論についても「RFTに関する説明(簡易版)」という紹介記事が含まれている。 ブラックレッジ, J.T. ・モーラン, D.J. 著 木下奈緒子訳 (2009).臨床家のための「関係フレーム理論」入門. こころのりんしょうa・la・carte, 28(1), 87-97 ここではまず、「あなたは、以前のあなたよりもずっと落ち着きましたね」という文章において、現在時制と過去時制の「あなた」が「〜よりもずっと落ち着いている」と関連づけられている例が挙げられ、 関係反応は,言語を通じて形成し表現することが可能な「意味」の数を拡大することになる。と、その意義を指摘していた。 関係フレームの説明では、ハトの条件性弁別の実験例が挙げられていた。まず装置は以下のようなものである。
なお、この翻訳では、「カゴ」、「ボタン」、「転移」という訳語が使われていたが、これらは、よく使われる「実験箱(スキナー箱)」、「キー」、「移調」と同じ意味である。 さて、ここまではよいのだが、それに続く「相互的内包」の説明は分かりにくい。すなわち、続く仮想実験では、 実験条件が変更されたとしよう。実験者は,赤いライトを1つのボタン上に配置し.もう一方のボタン上に緑のライトを設置した。そして,「より大きい」刺激を選択する事象が提示された場合は,どちらのボタンが押きれるべきであろうか? 赤いライトで照らされたボタンをつつくハトの反応は,単純に50%の見込みとなり.チャンスレベル以上にはならないであろう。しかしながら,多くの人間は,確実に赤いボタンを選択するだろう。と述べられていた。著者はこのことから、人間特有の相互的内包を説明しようとしているように思われるが、私がイマイチ理解できないのは、上掲で“「より大きい」刺激を選択する事象が提示された場合”が具体的にどういう操作を意味しているのかという点である。 あくまで私の想像になるが、おそらく、赤と緑のライトによる照明操作は継続される。また上掲の記述の通り、ボタンの上にも、赤と緑のライトが提示される。この条件のもとでは、
しかし、少なくとも私が理解している限りで言えば、ここで取り上げられている関係反応は、大きさの比較反応である。ここでの相互的内包は、「A>B」ならば「B<A」というものであって、赤や緑の照明はあくまで文脈的手がかりに過ぎない。入門者にはかなり分かりにくい事例ではないかという気がする。 次回に続く。 |